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高度先進歯科医療を学ぶ

オリオンデンタルクリニック 院長 高橋 伸児

「ジルコニアインプラントの将来展望とその実際」 (上) 2009.6.15

“高度先進歯科医療を学ぶ”のコ-ナ-では、厚生労働省の先進医療各技術の概要に沿わせて、現場でご活躍の先生方のお役に立つ情報を各分野の先生から発信して頂きます。
今回は、金属アレルギーの患者、特にチタンにアレルギー反応を示す患者対応への朗報と思われます。 スイス Z-system 社より日本におけるジルコニアインプラント導入認定施設の決定を委託された高橋伸児先生から、IGIシステムを駆使したジルコニアインプラントをご案内して頂きます。

オリオンデンタルクリニック 院長 高橋伸児

オリオンデンタルクリニック 院長 高橋 伸児

プロフィール

  • 1985年 九州歯科大学卒
  • 1989年 高橋歯科医院 院長
  • 2000年 エンゼル歯科医院 院長
  • 2001年 フロンティア歯科 院長
  • 2009年 オリオンデンタルクリニック
          開業
  • 日本顎咬合学会認定医
  • ドイツ口腔インプラント学会認定医
  • 日本口腔インプラント学会会員
  • 九州臨床再生研究会 正会員
  • スウェーデン ハルムスタッド州立病院留学
  • ステン・イサクソン先生に師事
  • インプラント・矯正セミナー高橋塾 塾長
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開業に至るまで

近年、生活習慣、食生活などの変化、ストレス、取り巻く環境の変化により現代病とも言えるアレルギーで悩む患者、不定愁訴で悩む患者が増えたように思います。そのためか、世の中の流れとして体にとってなるべく自然で為害作用の無い、あるいは極力少ないものへと移行して来ています。歯科を取り巻く環境も変わり、口腔内にある異種金属によるガルバニー電流発生でおこる全身への影響が危惧されており、口腔内から金属を除去または金属を使用しない治療も求められています。

今までのインプラント治療の材質はチタンですが、金属アレルギーの患者でも臨床的に好結果を得ています。ただ、チタンが最も人体に対して適しているかと言えば、そうではありません。実際チタンアレルギーの患者もいます。また、歯肉への親和性を考えるとあまり良くはありません。数年前よりアバットメントにジルコニアを使用できるようになり、歯肉への親和性、審美性に関しては改良され、好結果を得ています。フィクスチャーはチタン、アバットメントと上部構造はジルコニアで修復という方法は、今あるシステムの中では理にかなっていると思います。ただ、フィクスチャーも金属ではなくジルコニアであればより生体に親和性があり、優しいということになります。世界では13000本以上が埋入されています。

Z-systemのジルコニアインプラント問題はジルコニアが骨とオステオインテグレーションするかということです。骨との接触率はチタンと遜色ないとのエビデンスは既にあります。が、オステオインテグレーションを開始する時期がチタンに比べると遅いのが少々難点となります。また、今のところ1回法であるため、大きなGBRとの同時埋入は出来ません。時間の経過に伴う初期固定の緩みとオステオインテグレーションの始まりの時間差をいかに克服するか、即ち治癒期間中の負荷をいかに回避するかが成功への鍵となります。

使用した自家製サージカルガイドZ-systemの治癒期間のプロトコールは上顎6カ月、下顎3カ月です。これに関してはBRソニックなどの超音波を利用すれば短縮可能かもしれません。ジルコニアインプラントの埋入には十分な骨が必要となります。逆に十分な骨が必要であれば、より患者に優しい手術方法として、私はフラップレスでの手術を取り入れています。ジルコニアインプラントをフラップレスで手術するには、テンプレート系を使用すると色々な問題が発生するため、今のところ使用できません。IGI唯一、モーションキャプチャー系のIGIのみが可能となります。また、IGIを使用することにより、治癒期間中の負荷を回避するために使用するプロビジョナルも術前に製作することも可能となり、手術のリハーサルを模型上でするため、1回法の難しさでもあるシミュレーションが正しいか否か確認することも出来ます。この場合のプロビジョナルは機能の即時回復というよりも、治癒期間中にインプラントにかかる咬合圧、舌圧などの負荷からインプラントを守るという意味合いが強くなります。

【ジルコニアインプラント埋入から補綴までの注意点】

  • 1回法であるためCT撮影などによる診断が重要となる   
    十分な骨量があるか、埋入方向、角度の確認   
    アバットメント形成により20度まで角度補正可能だが、Z-systemは極力   
    平行に埋入することを推奨
  • 治癒期間中の負荷をいかに回避するか   
    プロビジョナル製作が重要(固定式、非固定式)
  • 上部構造がセメント固定であるためアバットメントの高さは最低3ミリ必要
    クリアランスがあるかどうか

【ジルコニアインプラントをIGI を使用しフラップレスで埋入する利点】

低侵襲な手術ができる   
一時的にも血流を遮断することが無い
(オステオインテグレーションの始まりが遅いことを考慮すれば有利である)   
歯肉などの腫脹がないので、プロビジョナルの調整が簡単   
通常のオペでは腫脹消退後調整の必要あり(特に非固定式の場合)

  • 治癒期間中に使用するプロビジョナルを術前に製作可能
  • 手術のリハーサルをすることが出来る シミュレーションが正しいかどうか確認
  • Z-systemのドリルをそのまま使用できる
    (フラップレス用の特別なドリルは必要ない)
  • 骨質の状態によってオステオトームなどの使用によるボーンコンデンスも方向性の確認ができるので可能となる(初期固定の向上)
  • ドリルキット Z-systemは今のところ即時荷重を推奨していませんが、全部欠損の場合下顎であれば、オトガイ孔間に6本埋入すれば可能と考えます。ただ、プロビジョナル製作が困難ですが、IGI を使用したフラップレスオペであれば、術前に製作することも可能です。
    ジルコニアインプラントが今あるインプラントシステムに全て取って代わるわけではありませんが、ホリスティックを旨として日々診療している医師にとってはインプラントによる咬合の確立という意味において福音であり、また必要としている患者にとっても福音でしょう。将来の展望として、少なくとも必要としている患者がいる以上、今のインプラントシステムのラインナップの中にジルコニアインプラントを含めるべきと考えます。
    次回は「IGIを使用したジルコニアインプラントのフラップレス手術の実際」を報告します。

    IGIを使用したフラップレスオペの適応症、全部欠損症例の方法は2007年9月号の「インプラントジャーナル」を参考にして頂ければと思います。
    尚、当医院はスイスZ-system社より日本におけるジルコニアインプラント導入の認定施設の決定を委託されております。

    ジルコニアインプラント導入セミナーはホームページよりご確認下さい。