歯科経営者に聴く - ココセトデンタルクリニック 瀬戸宏之院長

歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

ココセトデンタルクリニック 瀬戸 宏之 院長

ココセトデンタルクリニック

横浜市港北区篠原北は利便性に恵まれる一方で、静かな住宅街が広がるエリアである。最寄り駅である菊名駅は東急東横線とJR横浜線の接続駅であり、多くの乗降客数を数える。
ココセトデンタルクリニックは菊名駅西口から徒歩1分の場所に2004年に開業した歯科医院である。一般歯科、小児歯科を中心にした診療内容で、地域の患者さんの信頼を集めている。
今月はココセトデンタルクリニックの瀬戸宏之院長にお話を伺った。

ココセトデンタルクリニック 瀬戸院長

ココセトデンタルクリニック 瀬戸 宏之 院長

プロフィール

  • 1970年 神奈川県 生まれ
  • 1997年 北海道医療大学 卒業
  • 1998年 小林歯科医院 勤務
  • 2004年 ココセトデンタルクリニック 開設
  • 【学会 他】
  • 日本歯周病学会
  • 日本訪問歯科協会
▼クリックして展開▲クリックで閉じる

開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけはどのようなものだったのですか。

両親は医療系の仕事に就いていませんでしたが、伯父が歯科医師でしたので、歯科医師は身近な職業ではありました。高校生の頃は理数系の科目が好きで、高校でも理系クラスに入っていたのです。そこで、得意な科目を活かして就ける仕事だということで、歯科医師の道を選びました。

学生時代に思い出に残っていることはありますか。

北海道の大学に進みましたので、スキーもしましたが、スキーよりも小学校から続けていたサッカーにより打ち込みました。キーパー以外の全てのポジションを 経験しましたよ。大学生活はほとんどサッカー部での活動に明け暮れた感じですね。部活動で得たことはやはり上下関係の中での礼儀作法です。先輩は厳しかっ たですが、今でもいい関係が続いています。今も年に一度、北海道でOB戦をしています。
アルバイトは1年生の頃に居酒屋で調理スタッフをしました。面白かったですね。

卒業後、勤務先を選ばれた理由をお聞かせください。

横浜市の小林歯科医院に就職しました。出身が横浜ですので、神奈川県での勤務を希望していましたが、なかなか決まらなかったのです。当時は歯科大生が多く、就職難の時代だったことに加えて、大学の先輩で神奈川県内で開業されている方も少なかったので大変でした。それでも、大学の先輩に小林歯科医院を紹介していただいたのですが、小林院長とは初対面からウマが合い、こちらにお世話になりたいと強く思いました。

勤務先で学ばれたのはどんなことですか。

小林歯科医院はチェアが4台の歯科医院で、ひと通りの技術はもちろんですが、人間関係の大切さを学べました。小林院長からは「うちにいたら、絶対に開業できる」という励ましをいつもいただいていました。開業するまで6年間、勤務していましたから、比較的長い勤務医生活だったと思います。小林院長は素晴らしい方なのですよ。

小林院長のどんなところが素晴らしかったのですか。

お人柄ですね。今でも何かあったら、必ずご相談しています。長く勤務できる歯科医院というのはいい歯科医院なのです。私は小林歯科医院以外で勤務した経験がありませんが、それをデメリットと感じたことはありません。小林歯科医院に勤務した歯科医師の中では最も長い期間、お世話になりました。小林院長にとっての愛弟子でありたいと思っていましたね。 私どもでもできるだけ長く勤務してほしいと願っています。これまで5年、勤めてくれた歯科医師が最長でしたが、今も5年目に入った歯科医師が2人います。

開業しようと決断されたいきさつはどんなことだったのでしょう。

私としてはずっと勤務していたかったのですが、小林院長から「もう開業しろ」と言われたのです(笑)。勤務を始めて3年目の頃は「開業はもう少し待て」とおっしゃっていたので、開業すべきタイミングを教えてくださったのでしょうね。今、思えばベストのタイミングでしたから、小林院長が開業のお声を掛けてくださったことにも感謝しています。

開業地はどのように選ばれたのですか。

神奈川県を中心に、東京にも足を運んで、物件の見学を行いました。神奈川県は横浜市に限らず、藤沢、平塚、小田原など、合わせて100軒は見ましたね。 様々な場所に行きましたが、結局は地元の菊名で開業したいという気持ちが強くなってきたのです。そこへ不動産業者の方から、この物件を紹介していただきま した。

開業地の第一印象はいかがでしたか。

余りにも多くの物件を見過ぎていましたので、物件選びが惰性になっていたのか、ビビッとくるものはありませんでした(笑)。しかし、よく考えてみますと、 菊名駅から徒歩1分の場所ですし、実家にも近かったので、いい物件でしたね。新築のビルの1階で、2階には幼児教室の七田チャイルドアカデミーさんが入居 されるとのことで、子どもさんの来院が見込まれそうなところも良かったです。
前の建物はパチンコ屋さんでしたが、数年前にコンビニエンスストアに変わりましたので、人通りも増えました。

設計、レイアウトの工夫などをお聞かせください。

小林歯科医院が半個室の設計になっていましたので、私どもでも踏襲しました。動線分離できますので、患者さんのプライバシーにも配慮でき、好評をいただいています。また、小児歯科に力を入れたかったので、待合室の一角にはキッズスペースも作りました。 全体的な色合いは白とブラウンでまとめ、ホテルのような雰囲気を出すように心がけました。開業当初の綺麗さを保てるよう、今も掃除を徹底しています。私も率先して掃除していますよ(笑)。

開業にあたってはどんな苦労がありましたか。

スタッフを集めることと、スタッフに長く勤務してもらうことでしょうか。スタッフ集めに関しては小林歯科医院から移ってくれたスタッフのほかは求人誌を利用しましたが、最初はなかなか定着しませんでした。歯科医院として継続していくうちに落ち着いてきた感じですね。
開業当初は患者さんがいらっしゃるのかどうかも不安で、小林院長や開業した友達にもよく相談していましたが、増患に関しても口コミで広がっていったように思います。

開業にあたってのコンセプトとはどのようなものだったのですか。

駅前での開業ではありますが、地域密着を貫くというコンセプトでした。一人の患者さんを継続して診ていける体制を構築したいと考えていましたね。今年で開 業して10年になりますが、患者さんも10歳、年をとられたわけですから、私どもに通院できなくなった方もいらっしゃいます。そこで、これからはそういっ た患者さんのニーズにお応えするために、訪問診療を行う予定です。

経営理念

経営理念をお聞かせください。

チーム医療の徹底です。歯科治療は歯科医師一人で完結させることはできません。スタッフを大切にして、皆で助け合って歯科医院が成り立っていることの重みを常に考えるようにしています。

診療方針

診療方針をお聞かせください。

患者さんとのコミュニケーションを大事に、インフォームドコンセントをきちんと行うことを心がけています。インフォームドコンセントにあたっては初診の時間を長く取るようにしています。初診は予約制で、最低1時間を確保しますね。そこで、患者さんが私どもにどんなことを求めているのかというニーズをしっかり伺っています。

患者さんの層はいかがですか。

若い方が中心です。子どもさんも多いですよ。小林歯科医院では働き盛りの方々を小林院長が診て、私は子どもと高齢の患者さんの担当だったのです(笑)。小児歯科には慣れていますので、楽しんで診療しています。逆に、高齢の方や入れ歯の患者さんは割合としては小さいですね。

自費と保険の割合について、お聞かせください。

自費はほとんどありません。患者さんのニーズ次第ではありますが、私も特に自費を勧めることはないのです。インプラントも行っていません。ただ、矯正歯科に関しては複数の非常勤医師が勤務しています。また、ホワイトニングなども行っています。

睡眠時無呼吸症候群の治療もなさっていますね。

勉強会に参加したことがきっかけで始めました。マウスピースによる治療が中心です。医科からの紹介ですと保険適用になりますので、患者さんも徐々に増えてきたところです。私どものホームページをご覧になって来院される患者さんも多いですね。

増患対策

どのような増患対策を行っていらっしゃいますか。

ホームページのほかは特にありません。駅の看板や電柱広告などもしていないですね。開業当初はホームページすらありませんでしたので、スタッフと一緒にポ スティングを行いましたが、これは効果があったと思います。お蔭様で、開業後1年で非常勤医師を迎えることができました。
現在の来院動機は口コミがほとんどですね。若い方はホームページも少なくありませんので、見やすく、分かりやすいサイト作りを行っています。

訪問診療の増患対策はどのようになさっているのですか。

地域のケアマネージャーの方々と連携を行いたいですね。ただ、私どものメインはやはり歯科医院内の診療であり、訪問診療を積極的に展開するつもりはありません。高齢や病気で通えなくなった患者さんを中心に訪問させていただければと思っています。

スタッフ教育

スタッフ教育について、お聞かせください。

歯科医師として必要な技術はもちろん教えますが、何よりも人間的な行動ができるような教育を行っています。若い歯科医師とは年齡が離れているだけに難しい面もありますが、彼らに歩み寄る気持ちを忘れないようにしています。
私は若い歯科医師に対し、将来、何をしたいのか、どんなふうにしたいのか、どうなりたいのかなどを答えさせています。考えていることを言葉にさせることに よって、目標を明確にさせ、やる気を引き出せるのですね。そして、私の方もその目標を聞くことで、どういう教育をしていくべきなのか、考えることができま す。将来、彼らが開業するにしろ、ご実家の歯科医院を継承するにしろ、彼らのヴィジョンに沿った教育を行っています。その際、「インプラントをしたい」な ど、私どもで行っていない診療を目標とした場合は適切な歯科医院をご紹介しています。

歯科衛生士、歯科助手への教育はいかがですか。

きちんとしたミーティングは行っておらず、飲み会の席で話すことが多いですね(笑)。個人的にアドバイスが必要な場合は給料明細を渡すときに伝えるようにしています。その時間はスタッフ側からの意見を聞く場でもあります。
歯科衛生士も、受付のスタッフも外部の講習会に積極的に参加させています。交通費などの参加費用は私どもで負担し、参加後は報告義務があります。でも、この報告も飲み会の席で行っています(笑)。リラックスして報告できるようですよ。 年に1回は旅行を行っています。北海道や沖縄にも行きましたし、一昨年は台湾、去年はグアムに行きました。旅行中の飲み会もミーティングのような感じですよ。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

雇用の体制の確立です。スタッフと長く一緒に働いていけるように、福利厚生のシステムを見直しているところです。産休明けのスタッフが帰ってきやすいようにしたいですね。これからもスタッフを大切にした経営を心がけていきます。 また、訪問診療も始める予定です。

開業に向けてのアドバイス

開業に向けてのアドバイスをお願いします。

小林歯科医院で言われた、「うちのやり方をやっていれば、絶対に成功するよ」という教えを私どもでも引き継いでいこうと思っています。まずは、どんな患者 さんであっても、一人の患者さんを大切にすることです。口で言うのは簡単なことですが、日々の診療を丁寧に行わなくてはいけません。歯科医師の仕事は患者 さんがいらっしゃってこその仕事です。忙しい毎日の中でつい雑になってしまうことがありますが、初心を忘れずに、患者さんを大切にしていただきたいです ね。

プライベート

プライベートの時間はどんなことをして過ごしていらっしゃいますか。

水曜日が休日です。以前はサーフィンをしていましたが、最近はゴルフに行くことが多いです。ゴルフ仲間は色々な業種の人たちですので、楽しいですよ。また、温泉に行ったり、サッカー観戦をすることも好きですね。

【タイムスケジュール】

  • タイムスケジュール
  • 間取り図