歯科経営者に聴く - 桃デンタルクリニック 八田照子院長

歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

桃デンタルクリニック 八田 照子 院長

加茂歯科クリニック 外観

神奈川県綾瀬市役所近くのバス通り沿いにある可愛い桃のイラストが描かれた看板。それがトレードマークである桃デンタルクリニックは、バリアフリー設計で ベビーカーや車いすでも気兼ねなく通院できる医院である。院内は淡いピンク色でまとめられ、とても居心地のいい雰囲気で、キッズルームだけでなく、有資格 者による託児サービスも行っており、子育て世代には心強い。
桃山照子院長は、痛みの少ない低侵襲治療をモットーに、地域密着を心がけ、保険診療にも一切手を抜くことなく親身に患者と向き合いながら、3歳の娘さんの 子育てに励む現役ママでもある。何でも相談できるお口のかかりつけ医として励んでいらっしゃる桃山照子院長にお話を伺った。

むこうはら歯科医院 向原 正 院長

桃デンタルクリニック 八田 照子 院長

プロフィール

  • 1976年 兵庫県 生まれ
  • 2002年 鶴見大学 卒業
  • 2003年 ~2006年 東京都と神奈川県の歯科医院 勤務
  • 2007年 桃デンタルクリッニク 開設
  • 【学会 他】
  • 臨床歯周病学会 会員
  • 日本審美歯科学会 会員
  • 日本レーザー歯科学会 会員
  • 神奈川県歯科医師会 会員
  • 神奈川県大和市歯科医師会 会員
  • 鶴見大学同窓会 会員
  • 神奈川県綾瀬市立天台小学校学校歯科医
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開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけはどのようなものだったのですか。

歯科医師だった父の影響が大変大きかったです。私自身、子供の頃から手先が器用で、手芸などの細かい作業が好きでした。人とのコミュニケーションも嫌いではなかったですね。
ずっと歯科医師の父の背を見て育ち、大学で勉強している時から既にいずれ地域に密着した医療をしたいと考えていました。実際に診療を始め、近隣の小学校の 校医として多くのお子さんたちのお口の中を拝見するようになったり、3歳の娘が地元保育園に通うようになるにつれて、もっと「この町や地域に貢献したい」 と思うようになりました。

学生時代に思い出に残っていることはありますか。

大学の時は飲食店でアルバイトしていました。接客が大好きで、今の患者様とのコミュニケーションに役に立っていると思います。
実は父の影響で歯科大学に入りましたが、その当時はあまり勉強していませんでした。正直なところ、将来について本当に悩んでいました。そんな時、父が体調 を崩してしまいまして、その時、「父の医院を守っていきたい」と思って、それからずっと日々勉強を意識して頑張りました。

卒業後、勤務先を選ばれた理由をお聞かせください。

開業には治療技術と医院経営の両方とも大事だと考えていましたので、それを学べる歯科医院を選びました。1軒目の歯科医院は保険診療が多くて、地域に密着 し、患者様とのコミュニケーションや医院の経営方法など、勉強させていただきました。次の医院では自費診療が多く、多くの治療法を習得することができまし た。

開業にあたっての設計、レイアウトの工夫などをお聞かせください。

40年程前、父が現在のクリニックの真向かいで開業しました。それを私が8年前に引継いで、「桃デンタルクリニック」としてリニューアルオープンしました。当初、私は臨床経験が少なかったため、本当につらかったですね。
お子さんや私と同年代の女性が多く来院してくださったので、5年前に現在の場所に移転する際、患者様が気兼ねなく、リラックスして通えるよう、院内は可愛いらしく、温かな雰囲気になるよう配慮しました。
バリアフリー設計で、ベビーカーのまま入れる広めのユニットスペースや順番待ちのお子さんが楽しく過ごせるキッズスペースにもこだわりました。
半個室のユニットは親子で入っていただける広いスペースを確保しており、治療中でも親御さんに傍についていていただくこともできますし、大丈夫であればお 子さん一人で治療を受けてもらっています。どうしても泣いてしまうお子さんには、無理せず慣れるところからはじめてもらい、トラウマになって歯科医院に来 なくならないよう、無痛治療・低侵襲治療を実践しています。
最初は虫歯だらけだったのに、今では1本もない、健康なお口の状態を維持しているお子さんも何人もいらっしゃるんですよ。「虫歯はゼロだよ」って言ってき てくれるのが本当にうれしいですね。地域のお子さんの成長の過程を拝見し、見守っていかれることは、大きな楽しみの一つになりましたね。
最近はデンタルIQが高くなり、虫歯のお子さんが少なくなった分、歯並びを気にされる方が増えました。そうしたニーズにも対応できるよう、矯正専門医と連携しながら診療しています。

託児サービスが好評ですね。

開業以来、患者様はどんどん増えています。この地域はお子さんが多くて、親子の患者様も多いのです。ですから託児サービスを始めてみました。現在は週2 日、ベビーシッターの資格を持った方がいらして、親御さんの診療中、専用ルームでお子さんの面倒を見ていてくれています。あらかじめ予約の上でご利用いた だきますが、「専門のベビーシッターが見ていてくれるので安心」と大変好評です。
また、自分に娘ができて初めてわかりましたが、お子さんをお持ちの方は、なかなか歯科医院に通えない方も多いように思います。せめて治療中のわずかな時間でも、お子さんから手が離れ、リラックスしていただけたらと思っています。

経営理念

経営理念はどのようなものですか。

歯科医師として、どんな患者様でも、例えば難しい症例の患者様でも、丁寧に対応することが一番大事だと考えています。患者様の状況を十分理解したうえで、 診療方針を立てるのが重要です。特定の分野に特化することせず、基本に忠実な診療を行っています。どちらかといえば保険診療が多いですね。

診療方針

診療方針をお聞かせください。

どんな症状でも気軽にご相談いただけるよう、幅広くオールマイティーに診療しています。保険診療でも一切手を抜かない診療スタンスでいます。自費診療に限 らず、保険診療でも治療の選択肢はたくさんありますので、それぞれの患者様に合った治療法を選択してご提案するようにしています。
最近は、セラミック治療など、メタルフリー治療を希望される患者様が増えてきました。また、ホワイトニングをしたいという患者様も多くなりました。それだ け、患者様の歯科治療に対する意識が高くなってきて、開業した当時と比べて、とても大きな変化を実感しています。
今は無痛診療に力を入れます。また、患者様の身体の問題だけではなく、メンタルの面も意識して診療するのが大事なことだと思います。

子育てしながらの診療は大変ではありませんか。

私は職人タイプですのでどんな治療も絶対に手を抜きませんし、育児との両立も大変で、もう続けてくのは難しいかもしれないと思うことが何度もありました。 しかし、引っ越された先からもずっと通ってきてくださる患者様がいらっしゃったり、治療後に感謝の言葉をかけていただいたりする度に、頑張ってきてよかっ たなあという達成感があります。歯科医師になって本当によかった、歯科医師こそ私の天職、と心から思っています。子供がもう少し大きくなったら、また新し い知識・技術を勉強したいと思います。

増患対策

どのような増患対策を行っていらっしゃいますか。

特にしていませんが、近隣にお住まいの方を中心に、受診くださった患者様は開業してからどんどん増えています。父の代からずっと通ってくださっている患者 様も大勢いらっしゃいますし、この町は大家族が多いようで、どなたか一人をきっかけに順番にファミリーで通ってくださる患者様もいらっしゃいます。地域に 密着しながら幅広い世代の患者様を診てきた父と同じように、患者様とのコミュニケーションを重視して、患者様一人ひとりにきちんとした診療を行えば、患者 様は自然に増えていきます。私も心を込めて地域医療に貢献していきたいと思っています。

スタッフ教育

スタッフ教育について、お聞かせください。

勉強に熱心な先生には、学会や勉強会の出席費用を全額出しています。またそれを臨床につなげるため、院内の勉強会で発表してもらったり、レポートを出して回覧できるようにしています。衛生士さんや助手さんも同様に、やる気のある方には手厚くサポートするようにしています。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

今後も変わらずに低侵襲治療を前提にしながら、オールマイティーに、患者様により良い治療を提供していくつもりです。特に今後力を入れたいのが予防歯科で す。クリーニングのメニューを増やしたり、ホワイトニングの質を高めるなど患者様のニーズに合わせた診療をしたいと思います。
また、インプラントや義歯などにももっと力を入れて、新しい治療材料や治療器材も取り入れたいと思います。それから新しい先生を迎えるためのユニットも増やしたり、もう少し待合室を広くするなどリラックスして過ごせる空間づくりもしていきたいですね。

開業に向けてのアドバイス

開業に向けてのアドバイスをお願いします。

やはり立地=地域に密着すること、が大事です。最初はもちろん患者様は少ないですが、丁寧に対応していけばきっと患者様は増えていくはずです。ただし、最初からお金を稼ぎたいと思っていると失敗するかもしれません。
また、スタッフに方向性を明確にしなければならないと思います。診療方針や患者様に対する思いをスタッフに伝えて、スタッフに理解してもらうのが重要だと思います。

プライベート

プライベートの時間はどんなことをして過ごしていらっしゃいますか。

毎日、仕事で多忙ですが、限られた時間の中でも娘や家族と過ごす時間を大切にしています。ショッピングや食べ歩きは貴重なリラックスタイムですね。
独身時代にヨガ教室に通っていたのですが、今はたまに自分でヨガを楽しむこともあります。精神的に落ち着きますし、血流もよくなって、「明日も頑張ろう」と思えます。
休日は勉強会に参加するよう努力していますが、娘が成長してもう少し育児も落ち着けば、ゆっくり勉強できる時間もとれるのかな、と思っています。
子供と家族と一緒にいたい、一緒に遊ぶのが好きです。またリラックスの為に、ショッピングも好きです。

【タイムスケジュール】

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