歯科経営者に聴く - ユウデンタルクリニック ホワイトエッセンス三宮WEST 道向栄二 院長(前編)

歯科経営者に聴く(後編)

~第一線で活躍する理事長から学ぶ~

ユウデンタルクリニック ホワイトエッセンス三宮WEST 外観

 兵庫県神戸市中央区三宮町は関西を代表する商業地域である。
 ユウデンタルクリニック ホワイトエッセンス三宮WESTはJR東海道本線、阪神電鉄本線の元町駅から徒歩1分、神戸市営地下鉄海岸線旧居留地・大丸前駅からも徒歩1分の場所にある。
 一般歯科のみならず、ホワイトニング・クリーニングを中心としたホワイトエッセンスメニュー、マウスピース矯正など、審美歯科やオーラルエステにも力を入れている歯科医院である。

 今月は先月に引き続き、ユウデンタルクリニック ホワイトエッセンス三宮WESTの道向栄二院長にお話を伺った。

道向 栄二 院長

ユウデンタルクリニック ホワイトエッセンス三宮WEST 道向 栄二 院長

【プロフィール】

  • 1996年広島大学 卒業
  • 1996年広島大学 口腔外科学第一講座 入局
  • 2000年広島大学大学院 歯学臨床系専攻(口腔外科学第一)卒業
  • 2000年広島大学歯学部口腔外科学第一講座 文部教官
  • 2000年JA尾道総合病院 歯科口腔外科 勤務
  • 2003年広島県の歯科医院 勤務
  • 2007年兵庫県の歯科医院 勤務
  • 2010年大阪府の歯科医院 勤務
  • 2012年ホワイトエッセンス神戸 レイデンタルクリニック 開業
  • 2016年ホワイトエッセンス三宮WEST ユウデンタルクリニック 開業

経営理念

経営理念をお聞かせください。

ホワイトエッセンスに加盟することになった時点で、歯科医院全体でホワイトエッセンスの理念に取り組むことに決めて、私どもではホワイトエッセンスの理念そのままを実践しています。

それは「笑顔創造産業」です。私たちは笑顔を創っていく仕事をしていくのです。ホワイトニングをされた方が白い歯になり、見栄えが良くなることも大切ですが、健康的な土台も必要です。笑顔のために健康的な歯を創っていくことが理念です。

診療方針

診療方針をお聞かせください。

診療に関してはなるべく削らない、なるべく神経を取らない、なるべく歯を抜かないという分かりやすいものを基本に、しっかり治療していく方針です。

他院との差別化をどのように図っていますか。

ホワイトエッセンスを神戸の街なかでさせていただいているうえでの一番の差別化は病気の方ではなく、未病者の方がいらっしゃることです。
 病気になって困ったから来院するというのではなく、定期的に来ていただくことが大事であり、その大切さやご自分で気づいていらっしゃらないことなどを未病の方々に伝え、そういう方々の受け皿になるということでしょうか。

どういったお問い合わせが多いでしょうか。

取っ掛かりとしてはホワイトニングに興味があるという方が多いです。最近はセルフホワイトニングに行ってから、私どもに移ってこられる方に効果を尋ねられることが増えてきました。以前に比べると、クリーニングをしたいというご自身からの連絡が多くなりましたね。
 一方で、治療に関する問い合わせは色々な内容に分散しますし、普通にまんべんなくという感じでいただいています。

どのような患者層なのですか。

以前はやはり女性中心で、今も数で言えば女性の方が多いですが、最近は男性の方がすごい勢いで増えています。年齢を重ねても綺麗にしたいという方も少なくありませんから、年齢層も幅広いです。ただ治療にしても、ホワイトエッセンスにしても中心となっている層は労働世代で、子どもさんや高齢の方は少ないです。

増患対策

増患対策について教えてください。

ホワイトエッセンス全体での広告はしていますが、私どもでは新しい方を呼び込むための広告は特にしていません。ホワイトエッセンスでいらした方からのご紹介や口コミが多いです。来ていただいた方に引き続き来ていただけるように、ご満足いただける治療やホワイトエッセンスをすることが増患対策ですね。
 また、折角、来てくださったのだから、治療で来られた方で興味のある方にホワイトエッセンスを、ホワイトエッセンスで来られた方に治療をという行き来を重視しています。

スタッフ教育

スタッフの育成や教育について、お聞かせください。

技術を教えていくのが一般的な歯科医院のあり方なのでしょうが、ベースには仕事に取り組む際の考え方があるべきです。一般企業もある程度の規模になると、それが当たり前であり、入社後の最初の研修ではそこをしっかりやったうえで、社会人としての技術→その企業に沿った技術を身につけていくという順番でしょう。私どもでは経験者が入職しても、「ある程度できるから、これをこうやって」というのはありません。最初は必ず考え方からです。しかし、これは1、2週間をかけたところで身につくわけではないので、ミーティングなどで話して、勉強してもらっています。

一方で、接遇も重視しています。私どもでは受付をコンシェルジュというのですが、皆がコンシェルジュの研修をします。それが済むまではお客様への対応をさせません。ベースを作ったうえで知識を増やし実技に入ることを徹底しています。

スタッフに気持ちよく働いてもらうための環境づくりに関しても、お聞かせください。

私が自分でしようとしないことです。
 私が前に出過ぎて、出しゃばってしまうと、若いスタッフからすれば、上の人に言われている感じしかしません。スタッフは何も身につかないし、楽しくないですよ。任せられることは任せつつ、技術などのチェックを最終的に私がします。大事なところは私がするという割り切りですね。「うるさいおっさんやな」と思われすぎないように、皆が気持ちよく成長できる環境を整備することを意識しています。スタッフが自分の成長を楽しみながら、お客様に満足していただく仕事をしてほしいです。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

新たにチャレンジしたいことは特にありません。私が考えているレベル、スタッフが考えているレベルがありますが、それをお客様の求めているレベルに上げること、満足してくださる方を一人でも増やすことが開業の意味だと思っています。そのためのレベルアップを図っていきたいです。

開業に向けてのアドバイス

これから転職や開業を考えていらっしゃる歯科医師の方々にアドバイスをお願いします。

私自身は歯科医師になろうと強く考えて、この仕事を目指したわけではありませんが、大学病院に残って、すぐに診療させていただくようになり、「今の私の状況で診療させていただくのは失礼だ」と思い改めました。学生の頃は勉強をさせられている感が強かったのですが、そこで急に自ら勉強をしないといけないと気づき、勉強を始めたのです。

それまでしていなかった勉強が不思議とできるようになったのですが、転職や開業以前の問題として、人を診させていただく上でのそうした感覚を持っておくことが大事だと思います。慣れてくると、多くの方をただ診ていることになりがちですが、その人を診ているという感覚を持ち続けて欲しいと思っています。
 私はスタッフにも「ホワイトニングの方」ではなく、「○○さんのホワイトニングをします」というふうに、人が先だと伝えています。とりわけ若い歯科医師は技術に走る面があります。最低限の技術はもちろん必要ですが、人と接する仕事であることをまず意識する必要があります。私どもでは患者様ではなく、基本的にはお客様とお呼びしていますので、その感覚を大切にしています。

また、数をこなして技術があっても診断ができていない人もいます。ちゃんとした診断があってこその処置だと思いますが、それが無いままに非可逆的な処置をする歯科医師がいる事に驚かされます。転職を考える方は、技術以前に社会人としての考え方・接遇・診断力を身に付ける事を意識された方が良いかと思っています。

開業となると、それに加えて「本当にしたいこと」が必要です。私は何も考えずに開業しようと考えていたところにホワイトエッセンスと出会い、本当にしたいことを見つけました。
 これが今の時代は大切ではないでしょうか。本当にしたいことがないのに、わざわざ開業するなら、どこかに勤務しておいた方が楽ですよ。したいことがあれば、それに向けて頑張って欲しいですね。

目的を持った開業にこそ意味があるということですね。

何十年も前の歯科医師は開業するのが当たり前で、開業したら多くの方が来てくださっていました。今はそういう時代ではありません。したいことがないのに、色々なリスクを背負い、辛い思いを抱えながら開業する必要はないでしょう。こういうことがしたいというビジョンがなければ、自分が働きやすい環境で勤務するのも一つの選択肢です。

勤務医の方も非常に多くなっています。勤務医のメリットに関して、お聞かせください。

その時間、自分の仕事を全うすれば、あとは公私の区別をつけやすいことがメリットでしょうか。自分のやりたいことをしたいというこだわりが強くないのであれば、その歯科医院の方針に従って、自分の力を発揮するのも良い生き方です。何が何でも開業するというよりも、安定した立場で公私どちらも充実させるのはいいですね。

プライベート

先生はお忙しい中でも、公私を分けられていますか。

現状は「私」はほぼないですね。私どもは週に6日、9時から20時まで開けています。それ以外の時間に経営者としての仕事もしないといけませんし、それは誰にも任せられません。ここに来ていない日はまずありません。休診日でも来て、静かにこもって仕事をしています。
 先のことを考えると、同じ志を持った方に来ていただいて、一緒に仕事をする中で、お互いが公私を分けた生活ができればいいですね。よく言えば、仕事が仕事でもあり、趣味でもあります。仕事以外はしていないですね。

今後、歯科以外にご興味のあることが出てきそうですか。

もともとは美味しいものを食べに行ったり、旅行することが好きでした。でもそれをしない生活が何年も続くと、それ自体は楽しいはずですが、なかったらないで平気だと思うようになりました。それは人としてどうなのかなと思っていますけどね・・・(笑)。

ただ、ホワイトエッセンスに加盟させていただき、色々と勉強させていただいているうちに、直接の仕事でなくても、世の中の役に立てる仕事がないものかと考えるようになりました。時間が取れたら、私どもでしていることで社会に貢献していきたいです。これが趣味としてできると一番いいですね。

そのためにも、来て下さる方を満足させるというホワイトエッセンスの志を持った方にいらしていただきたいです。私は、自分がお客様に喜ばれる事よりも、スタッフがお客様に喜んでいただいている姿を見ることが一番の喜びになっています。これまで面接に来てくださった方、勤務してくださった方がおられましたが、この気持ちがないと続かないし、辛いだけになります。その志があると、その方のためにもなりますし、そういう歯科医師を育てていくことが社会貢献になるのだと信じています。

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