歯科経営者に聴く(前編)
~第一線で活躍する院長・理事長から学ぶ~
地域に根ざし、子どもから高齢者まで幅広い世代の口腔健康を支えてきたいくま歯科医院。患者一人ひとりのライフステージに寄り添った診療を大切にし、予防から治療、メンテナンスまで継続的なサポートを行うことで、「安心して通い続けられる歯科医院」を目指してきた。
今回は、今月と来月の2回にわたり、いくま歯科医院の診療に込めた想いや医院づくりの背景、スタッフとのチーム医療への考え方、そしてこれから見据える歯科医療の未来について、院長・伊熊先生にお話を伺った。
医療法人 圭真会 伊熊 直記 理事長
【プロフィール】
- 1966年兵庫県西宮市 生まれ
- 1990年奥羽大学歯学部 卒業
- 2016年京都府歯科医師会 学術医院長
- 2017年医療法人圭真会 いくま歯科医院 開設
- 2020年京都インプラント研究会 会長
- 2022年ノーベルインプラント京都プランニング教室 塾長
【開業に至るまで】
歯科医師を目指されたきっかけについて教えてください。
祖父も父も歯科医師で、親族にも歯科医師が多い環境でした。いわば自然な流れで、自分も歯科医師を目指すようになった、というのが一番の理由ですね。
理事長(院長)が卒業後の勤務先を選ばれたポイントを教えてください。また、そこでどんなことを学ばれましたか。
奈良が好きだったこともあり、最初は奈良の歯科医院に勤務しました。とにかく忙しい医院で、1年目から本当にがむしゃらに働きました(笑)。その分、実践的な経験を数多く積むことができたと感じています。
開業前に一番不安だったことは何ですか?どう乗り越えましたか。
開業したのは29歳のときですが、正直なところ、あまり周到に準備していた記憶はありません(笑)。当時は今ほど情報も多くなかったですし、妻(歯科衛生士)と2人でスタートしたような形だったので、できるだけお金をかけずに始めました。
開業場所を決めるにあたり、どのようなポイントを重視しましたか。
これも今思うとかなり大雑把で(笑)、たまたま空いていた物件が「少しきれいだな」と思って決めました。当時はマーケティングという概念もほとんどなかった時代ですが、なんとかここまで続けてくることができました。
開業後、理想と現実のギャップを感じた瞬間はありましたか。
開業して一番感じたのは、勤務医時代の「休み」とは感覚がまったく違うということです。仕事のことが常に頭から離れず、最初の頃はそのプレッシャーが大きかったですね。
【理念・治療スタイル】
経営理念や診療方針を教えて下さい
経営理念として最も大切にしているのは、「スタッフが安心して働ける環境をつくること」です。スタッフが安心して働けなければ、良い医療は提供できないと考えています。
診療面では、設備や技術を含め、できるだけ新しいものを積極的に取り入れる方針です。
治療スタイルに影響を与えた特定の経験や出会いがあれば教えてください。
特定の出来事というより、これまで勤務してきた複数の医院での経験が今につながっています。最初の医院では、忙しい環境の中で効率的な診療を学びましたし、2カ所目では歩合制だったこともあり、経営的な視点も身につきました。
今後の歯科医療の発展において、理念に基づき医院として特に力を入れたい分野はありますか。
今後は、採用と教育により一層力を入れていきたいと考えています。患者さんには多く来ていただいている一方で、特にドクターの確保が課題です。ここをうまく整えていきたいですね。
他の医院との差別化するために工夫している点をお聞かせください。
当院の大きな特徴は、アポイント時間をしっかり守ることです。約束した時間に必ず診療を始め、診療終了時間もきっちり守る。残業もほとんどありません。
朝礼はありませんが、時間を守る文化は自然と根付いています。私自身が一番早く出勤していることもあり、遅刻するスタッフはほぼいませんね(笑)。患者さんも待たされないので、遅刻されることがほとんどありません。
開業・運営するうえでの苦労話、ピンチなどはありますか。
医院がまだ小規模だった頃、スタッフが退職したときは大きなダメージでした。そのときは自分が2倍働くしかなく、スタッフにも負担をかけながら、みんなで何とか乗り越えました。あの経験は、今でも強く印象に残っています。
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