歯科経営者に聴く - エルアージュ歯科クリニックの加藤俊夫理事長

歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

伊藤デンタルクリニック 伊藤正尚 院長

はり開業するなら生まれ育った場所でと考える方も多いのではないだろうか。
今回は地元、横浜市栄区・大船駅前に開業している伊藤デンタルクリニック院長の伊藤先生にお話を伺った。

伊藤デンタルクリニック伊藤先生はS43年に大船に生まれる。子供の頃から釣りや動物を飼うことが好きで、中学校時代には芦ノ湖に通ってはニジマスを釣っていたという。
「ルアーの毛針や仕掛けを作ったりと、手先を使うことが好きでした。それで歯医者さんに行ったときに先生が治療する姿にも興味を持った訳です。その先生は治療や口の中のことはもちろん色んなことを話してくれました。サラリーマンにはなりたくなかったですし、自分のペースで仕事がしたかったというのもあって歯科医師になろうと考えていました。」

伊藤先生は東北大学歯学部に入学する。 大学時代もよい環境で勉強できたということですが?

「臨床研修で担当した患者さんの口の中を最初から最後まで自分でお世話させていただく機会に多く恵まれましたね。これはその方の技工物も含めてという意味です。何かに特化して打ち込むという感じではありませんでしたが、基礎となる診療技術は磨けたと思います。また、余談ではありますが、大学から蔵王が程近いところにあったので、スキーやパラグライダーなど季節を問わずスポーツができる環境にあったことも良かったですね(笑)。」

伊藤デンタルクリニック自分のペースでという言葉通り、勤務医時代は当初から開業を強く意識したものであったそうだ。平成5年に東北大学を卒業後、横浜市にあるクリニックに4年間、藤沢市にあるクリニックに3年間勤務し開業に至る。

伊藤デンタルクリニック「新卒でしたし、同じ大学出身の先生方がいらっしゃるクリニックであればよいと思っていました。あとは駅に近ければなお良し(笑)。個人医院が多いので情報があるわけでもないですし、勤めるにあたってはまず飛び込んでみないとわからない。少なくとも同じカリキュラムで勉強してきた先生方の所なら入口で戸惑うことはないだろうと考えてのことでした。」

飛び込んでみていかがでしたか?

「臨床研修の積み重ねが役立ち、入職間もない時から一般歯治療についてはどんどん対応できました。勤務先のクリニックにいた古参の衛生士からも「新人なのにそんなことまでできるのね。」と言われたことが今でも印象に残っています。それでもあくまで基本治療の枠を出るものではありませんでしたから、足りない技術を補おうと歯内療法、審美をはじめとする講習会には率先して参加していました。」

平成12年に現在の伊藤デンタルクリニックを開業する。
なにより驚かされるのは診療に来院される患者さんの多さだけではない。通りがかりに何気なく顔を出していく近所のみなさんが実に多いことだ。この日も休み時間にお話を伺っていたが、窓越しに手を振る子供とお母さんがいたり、ドアを開けて挨拶していくおばさんがいたりと(かかりつけ医)という言葉を強く感じる瞬間が何度かあった。 伊藤デンタルクリニック「クリニックに診療にお見えになる患者さんだけでなく、地域とのつながりを大切にしています。患者さんに夏の盆踊りに呼ばれれば踊りに行きますし、新年のもちつき大会に誘われれば顔を出しに行くといった感じですね。単純にみんなでわいわい楽しくというのが好きですね。」

そういった患者さん・地域の人達と目線を同じくしようとする伊藤先生の姿勢は医院作りにも当然反映されている。

「受付は一人一人にしっかり対応出来るようにカウンターを低くし、患者さんにも座っていただく形をとっています。また、インフォームドコンセントが大切だと普通に言われる時代になりましたが、私や衛生士が治療内容、ご自身の歯の状況を伝えると「こういった話や説明をしっかりされたことは今までなかった。」という患者さんはまだまだ多いのです。そういう意味で医療人としての意識を持った衛生士の存在は貴重です。私自身も今まで以上に患者さん一人一人に適した治療技術を駆使していきますので、衛生士にはその後の患者さんのケアをしっかりできる方を求めます。ユニットも増設していく予定です。

院内にはハワイアン音楽が流れ、砂浜の写真、南国の置物が並べられている。

伊藤デンタルクリニック「ハワイとか南国にあるような暖かくて海がある場所が好きですね。ハワイアン音楽も好きで車の中でも聴きますし、見ての通り服装も白衣ではなくユニフォームで、オレンジ色を基調にしています。患者さんにも開放的な雰囲気の中での診療を提供したいですね。」

地域とのつながりを大切にする傍ら、ハーバード大学、ミュンヘン大学をはじめとするインプラント講習会、講演会に参加し自己研鑽する機会も多い。

「ハーバード大学で自分の症例発表をしたのですがさすがに緊張しました。もって生まれたきれいな歯を、できる限り維持したい、自分の歯をもっと美しくしたいという、誰もが望むことに最新の技術で確実にお答えするというコンセプトを実現するために勉強を続けています。」

伊藤デンタルクリニックの今後について聞いてみた。

伊藤デンタルクリニック「メンテナンスの患者さんも増えていますので、再建から維持という流れを確立し、私、スタッフ、患者さんと今まで以上に良い関係を築いていきたいですね。」