高度先進歯科医療を学ぶ
オリオンデンタルクリニック 院長 高橋 伸児
「ジルコニアインプラントの将来展望とその実際」 (下) 2009.7.15
“高度先進歯科医療を学ぶ”のコ-ナ-では、厚生労働省の先進医療各技術の概要に沿わせて、現場でご活躍の先生方のお役に立つ情報を各分野の先生から発信して頂きます。
今回は、金属アレルギーの患者、特にチタンにアレルギー反応を示す患者対応への朗報と思われます。
スイス Z-system 社より日本におけるジルコニアインプラント導入認定施設の決定を委託された高橋伸児先生から、IGIシステムを駆使したジルコニアインプラントをご案内して頂きます。

オリオンデンタルクリニック 院長 高橋 伸児
プロフィール
- 1985年 九州歯科大学卒
- 1989年 高橋歯科医院 院長
- 2000年 エンゼル歯科医院 院長
- 2001年 フロンティア歯科 院長
- 2009年 オリオンデンタルクリニック
開業
前回、ジルコニアインプラントの展望と特質についてお話をしましたが、今回は「IGIを使用したジルコニアインプラントのフラップレス手術の実際」を報告します。
【ケースプレゼンテーション】
患者:女性 72歳
左上4、5、6にインプラント希望
金属アレルギーの既往あり ジルコニアインプラントを希望

問題はジルコニアが骨とオステオインテグレーションするかということです。骨との接触率はチタンと遜色ないとのエビデンスは既にあります。が、オステオインテグレーションを開始する時期がチタンに比べると遅いのが少々難点となります。また、今のところ1回法であるため、大きなGBRとの同時埋入は出来ません。時間の経過に伴う初期固定の緩みとオステオインテグレーションの始まりの時間差をいかに克服するか、即ち治癒期間中の負荷をいかに回避するかが成功への鍵となります。
【術前準備】
1、ホースシュー付きステントの製作

2、CT撮影 1平面上に極力9個のセラミックボールを含むように
CT にも誤差があるためその誤差補正に必要
3、IGIシミュレーションソフトを使用し、CTの誤差補正後、シミュレーション
ジルコニアインプラントはIGIのラインナップには入っていない
フィクスチャーの直径、長さが極力同じものを選択
直径はプラットフォームにあわせる(補綴を考えて)

4、IGI本体に位置関係を記憶させる
CT撮影時の口腔内ステントの位置と模型上の位置が同じであることを確認

5、IGI画面を見ながら模型上で形成
Z-systemのドリルキットはIGIのラインナップにはない
IGIに登録したドリルと実際使用するドリルが異なっていても問題ない
模型上での埋入深度は無視しても問題ない
形成方向、角度のみ参考に

6、ステントにチタンチューブを取り付け、サージカルガイドへ改良
チタンチューブは内径2.1ミリの自家製
実際にドリルをガイドに挿入し、正しくセットされたか確認

7、模型上のインプラント形成窩に自家製アバットメントレプリカをセットする
歯肉縁下0.5ミリにプラットフォームが来るようにセット

8、模型上でアバットメントとプロビジョナル内面に1ミリの空隙を原則に形成、
プロビジョナル作製
最終補綴物はセメント合着なので、アバットメントの高さは最低3ミリ必要になる
対合歯とのクリアランスの確認
【術 中】
1、患者の口腔内にサージカルガイドを装着
- 天然歯を利用し模型上の位置と同じかどうか確認
歯牙にドリルを持っていき、IGI画面上の同じ歯牙の同じ場所に誘導される - ガイドにドリルを挿入し、IGI 画面上のシミュレーションの位置にドリルが
誘導されるかどうか確認されなければ、サージカルガイド固定の位置がCT 撮影の位置とズレていることを意味する
2、IGI 画面とガイドに沿って2ミリのドリルでインプラント窩を形成

3、歯肉をパンチアウトする 歯肉の厚みを実測
パンチアウトの直径はフィクスチャーの直径とする

4、ガイドを除去し、Z-systemのドリルへ変更

5、Z-systemのドリルはラインナップに入っていないため形状、長さが近いものを選択

形成方向、角度のみ参考にし、深度は直視にて確認
ここからの形成はIGI画面を見ながらフリーハンドでの形成となるが、既に2ミリの
ドリルで形成済みのためブレることは無い
プラットフォームが歯肉縁下0.5ミリになるように深度を決定
歯肉が厚い場合は少し深めになる
カウンターシンクの部分で1.5ミリ深度調整できる
6、最終形成、インプラント埋入

【術 後】
低侵襲な手術ができる
一時的にも血流を遮断することが無い
(オステオインテグレーションの始まりが遅いことを考慮すれば有利である)
歯肉などの腫脹がないので、プロビジョナルの調整が簡単
通常のオペでは腫脹消退後調整の必要あり(特に非固定式の場合)
(フラップレス用の特別なドリルは必要ない)
Z-systemは今のところ即時荷重を推奨していませんが、全部欠損の場合下顎であれば、オトガイ孔間に6本埋入すれば可能と考えます。ただ、プロビジョナル製作が困難ですが、IGI を使用したフラップレスオペであれば、術前に製作することも可能です。
ジルコニアインプラントが今あるインプラントシステムに全て取って代わるわけではありませんが、ホリスティックを旨として日々診療している医師にとってはインプラントによる咬合の確立という意味において福音であり、また必要としている患者にとっても福音でしょう。将来の展望として、少なくとも必要としている患者がいる以上、今のインプラントシステムのラインナップの中にジルコニアインプラントを含めるべきと考えます。
次回は「IGIを使用したジルコニアインプラントのフラップレス手術の実際」を報告します。
IGIを使用したフラップレスオペの適応症、全部欠損症例の方法は2007年9月号の「インプラントジャーナル」を参考にして頂ければと思います。
尚、当医院はスイスZ-system社より日本におけるジルコニアインプラント導入の認定施設の決定を委託されております。
ジルコニアインプラント導入セミナーはホームページよりご確認下さい。
問い合わせ先 オリオンデンタルクリニック Tel 096-288-2256
Fax 096-288-2257
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