今回でコラム編の最終回となります。
最後に「海外で日本人以外のスタッフと働く」ということについて書きたいと思います。
ハノイに来てベトナム人スタッフと働き始めてもう2年になります。以前にも他の国で外国人と一緒に働いたことはありますが、アルバイトという立場であったのと、歯科とは関係なかったこともあって、スタッフ指導や働き方ということについてあまり深く考えたことがありませんでした。
第8回
今回でコラム編の最終回となります。
最後に「海外で日本人以外のスタッフと働く」ということについて書きたいと思います。
ハノイに来てベトナム人スタッフと働き始めてもう2年になります。以前にも他の国で外国人と一緒に働いたことはありますが、アルバイトという立場であったのと、歯科とは関係なかったこともあって、スタッフ指導や働き方ということについてあまり深く考えたことがありませんでした。
ベトナムに来てすぐの頃は日本で働いていた時と同じ感覚でスタッフと接していましたが、やはり今まで育った環境や国民性の違いからか、思っていることがなかなか伝わらずイライラしてしまうことが多くなってしまいました。時間にルーズだったり、掃除が大雑把だったり、ミスをしてもまずは言い訳だったり・・・言い出したらキリがないくらい、細かい性格の私にとっては気になることばかりでした。
そんな時、もう何年もベトナムに住んでいる日本人から「ベトナム人はそんなもんだよ」と言われました。人前で注意されるのが嫌い、メモを取らないので忘れやすい、約束の時間を守らないというのは普通のことだと。それを無視して、日本人と同じように指導をしても何も伝わらないですよね。もちろん日本が基準というわけではなく、世界に出ると日本人が変だと言われることもたくさんあります。
「郷に入れば郷に従え」ということで、ベトナム人の性格を考えた上で接するようにしました。注意されるとすぐにシュンとしてしまうので、良いところは褒めつつ、駄目だった所は次頑張ってみようと励ましてみたり、すぐに忘れるのでこちらからメモを書いて渡してみたり。少し伝え方を変えるだけで、随分とスムーズにいくようになりました。
最近では、内容によってはあきらめて自分でしてしまうこともありますが、みんなも私の性格を分かってきたのか、言われる前に行動してくれることが多くなってきたように感じます。
逆に彼らを見習わないといけないなと思うこともたくさんあります。彼らは家族をすごく大切にしていますし、お互いの関係が良くなると仕事以外のことでもとても親切にしてくれます。みんなお世話をするのが大好きなようで、スタッフから子供のように扱われるときも…(笑)
共通の言語は英語、しかもみんな第一言語ではないので完璧ではありません。それでもお互いを思やりながら働くというのは、どの国でも一緒です。
考え方の違うベトナム人と一緒に働いたこの2年間で、衛生士というよりも人間的に成長しているなと日々感じています。これまで当たり前だと思っていた事が当たり前ではないのだと気づいたこと、物事を客観的に見られるようになったこと、焦らずに考えることができるようになったこと、そして今までよりも心が広くなったなと思うこと。
日本を離れて歯科衛生士として働くなんて、昔は考えもしませんでした。ちょっとしたことがきっかけで、人生が大きく変わることもありますし、絶対にできないと否定して諦めてしまうのはすごくもったいないことだと思います。 多くの日本企業がどんどん海外に進出しています、それにともなって、海外での日本人歯科衛生士のニーズも増えてくると思います。もし興味をもっているのであれば、是非チャレンジして欲しいと思います。
今回、e-dentistさんからこのコラムのお話を頂いたおかげで、なんとなく過ごしていたベトナムでの生活をもう一度しっかりと振り返ることができました。まだやってみたいこともあるので、私はもう少しハノイにいる予定です。毎日を100%で過ごすことなんてできませんが、1日1日を大切に過ごしていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
横野裕美