歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人社団 wisteria ふじさわ歯科クリニック 理事長 藤澤 秀男 先生

加茂歯科クリニック 外観

埼玉県川口市は埼玉県ではさいたま市に次ぐ、人口58万人を数える街である。JR京浜東北線の川口駅周辺は多くの商業施設が立ち並び、高層マンションも林立している。
ふじさわ歯科クリニックは川口駅から徒歩6分ほどの場所に、2009年に開業した歯科医院である。開業以来、「一人一人の患者さんに合わせた、常に最良の 治療を提供でき、信頼され、評判の良い歯科医院を目指す」ことをコンセプトに、コミュニケーションを大切にした歯科診療を行っている。
今月はふじさわ歯科クリニックの藤澤秀男理事長にお話を伺った。

むこうはら歯科医院 向原 正 院長

医療法人社団 wisteria ふじさわ歯科クリニック
理事長 藤澤 秀男 先生

プロフィール

  • 1973年 埼玉県 生まれ
  • 1998年 明海大学 卒業
  • 1998年 埼玉県川口市の歯科医院 勤務
  • 2006年 ふじさわ歯科クリニック(東京都北区田端)開設
  • 2009年 ふじさわ歯科クリニック(埼玉県川口市)開設
  • 【学会 他】
  • 日本口腔インプラント学会所属
  • 日本インプラント臨床研究会所属
  • 日本歯周病学会
  • CHP研究会
  • 南カルフォルニア大学客員研究員
  • 川口歯科医師会
  • 日本歯科医師会会員
  • 埼玉県歯科医師会会員
  • 川口市立仲町小学校校医
  • 臨床研修医指導歯科医師
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開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけはどのようなものだったのですか。

実家は自営業ですが、私は家業にあまり興味が持てなかったのです。両親は私を教員にさせたかったようですが、叔父が歯科医院を開業しており、叔母から歯科医師になるように勧められたのです。そのため、高校では理系を選び、歯科大学に進学しました。結果的には歯科医師の仕事は私に合っていると感じています。

学生時代に思い出に残っていることはありますか。

3年生までは苦学生でしたので、アルバイトをしながらの学生生活でした。それでも飲み会には参加していましたし、友人と都内に遊びに行くこともありました。アルバイト先の人たちともよく飲みに行きましたし、社会勉強も豊富にできました。今も渋谷などに行きますと、学生時代を思い出しますね。関西出身の友人が多かったので、巧みな話術も習得できたようです(笑)。私は自宅から大学に通っていましたので、ほかの人よりも早く起きなくてはならず、早起きが習慣となりました。今も誰よりも早く出勤しています。

卒業後、勤務先を選ばれた理由をお聞かせください。

川口市内の歯科医院に就職しました。私は大学時代に補綴に興味があったのですが、当時はまだインプラントを積極的に手がけている歯科医院は少なかったのです。しかし、その歯科医院は自費診療が多く、全顎治療もなさっていたのですね。院長が私と同じ大学出身だったこともあって、そちらに就職しました。

勤務先で学ばれたのはどんなことですか。

勉強できる環境が整備されていた歯科医院で、高額のセミナーにも行かせていただいたので、今の糧になっています。勤務医で高額のセミナーに参加することは難しいですし、院長には本当に感謝しています。3年目以降は海外研修にも行かせていただきました。海外のセミナーでは主にインプラントや外科系について学びましたが、著名な歯科医師と知り合いになれたり、コミュニケーションを取れたのはいい機会でしたね。

素晴らしい経験でしたね。

診療や仕事だけでなく、勉強のできる環境は大事です。私どもも診療時間を削ってでも、週1回は勉強会を開催しています。私自身も矯正や予防などのセミナーに参加したり、今も海外研修に行っています。様々なセミナーに参加しても、メンバーが重なっていることが多く、すぐに仲良くなれますので、そういった先生方の歯科医院を私どものスタッフと一緒に見学させていただくこともあります。

開業しようと決断されたいきさつはどんなことだったのでしょう。

その歯科医院には8年半の間、勤めていましたから、一カ所にそれだけいるのは長いですね。非常に環境が良かったですし、このまま勤務医でもいいとも思っていましたが、先輩方が次々と開業し、私が勤務医のトップになったのです。これで勤務医としての務めが終わったように感じられ、開業を決意しました。先輩が長居して偉そうにするのは後輩にかわいそうですしね(笑)。ほかの歯科医院で分院長を経験する選択肢もありましたが、私は開業する道を選びました。

開業地はどのように選ばれたのですか。

まずは田端に開業しました。当時は銀行の貸し渋りの時代で、借り入れは非常に厳しかったですね。担保もありませんでしたので、紹介された業者さんから居抜き物件を借りて開業しました。居抜き物件ですから設計などもしていないのですが、売上は順調に伸び、手狭になってきたのです。そこで2年後に川口に分院を開業しました。

開業地の第一印象はいかがでしたか。

川口市内に住んでいましたので、土地勘や馴染みがあったのです。この場所は商店街の一角ですから、活気があって明るく、人通りが多いという印象がありました。周囲には歯科医院が乱立していましたが、私自身のコンセプト通りの歯科医院を作ると決めていたので、近隣の歯科医院のことは気にしませんでした。

設計、レイアウトの工夫などをお聞かせください。

お子様が通いやすい歯科医院を作りたいということと、より高度なインプラントを行えるように手術室に投資しました。チェアの配置は完全に個室にしてしまい ますと、エアコンや水回りにコストがかかるので、個室に見えるようなセパレートにしています。床上げしなくてもよい設計でしたので、バリアフリーにできた のが良かったですね。ただ、田端で診療をしながら分院の準備を進めなくてはいけませんでしたので、設計やレイアウトなどは業者さんに任せきりなのです。仕 事が終わって田端から駆けつけても、その日の工事は既に終わっていますから、進捗状況も確認できないままでしたね(笑)。

開業にあたってはどんな苦労がありましたか。

既に田端で開業していましたので、事務的な作業には慣れていましたが、CTの設置などのため、通常よりも開業費用がかかってしまいました。軌道に乗れば投 資すればいいことですから、これから開業されるときには初期投資をできるだけ抑えることをお勧めします。 また、分院を開業してしばらくは本院の様子をなかなか見ることができないのも苦労しましたね。当時はまだ幹部スタッフもいませんでしたので、人事の管理を はじめ、事務長的な業務に関してはコンサルタントのお世話になりました。周囲のアドバイスも聞きながら、そういった苦労を乗り越えていきました。

開業にあたってのコンセプトとはどのようなものだったのですか。

最初からキッズルームを作りましたし、お子様やファミリー層に来ていただける歯科医院にして、田端ではあまりできなかった予防歯科に力を入れようと思って いました。そのため、看板の色も工夫しています。昼間はお子様やお子様連れのお母様の目につくようにピンクなのですが、看板の中にシートが貼ってあり、夜 はシートに反射して茶色に変わるようになっています。

経営理念

経営理念をお聞かせください。

いつまでも健康で美しくいられるようにサポートし、豊かさと気づきを与えることができる歯科医院でありたいということですね。

診療方針

診療方針をお聞かせください。

予防歯科をメインとし、患者さんのニーズに合うように、カウンセリングに重きを置いて診療にあたっています。予防歯科の考えに基づいたインプラントのほか、矯正歯科や審美歯科も行っています。また、歯科衛生士によるメンテナンスにも力を入れています。 患者さんによって治療方針や治療計画が違いますので、全ての患者さんに治療計画書をお出しし、カウンセリングで私どもの方向性をお伝えしています。 現在、スタッフは歯科医師3人、歯科衛生士5人、受付、歯科助手が3人いるほか、保育士も常駐しています。

患者さんの層はいかがですか。

川口の場合は自費診療は多いときで40%から45%、平均では30%から35%というところでしょうか。田端では以前から自費診療が多く、65%を自費診療が占めています。川口でももう少し自費診療が伸びたらいいのですが、患者さんのパイが増加すれば自費率は下がりますので、難しいですね。自費診療のうちの半分がメンテナンスの患者さんです。

自費と保険の割合について、お聞かせください。

保育士が常勤していることもあり、子どもの患者さんが多く、高齢の患者さんは少ないですね。

増患対策

どのような増患対策をしていらっしゃいますか。

私どもの新患数は月に60人から70人で、そのうち8割の方が口コミや紹介の患者さんです。残り2割がホームページからの患者さんですね。以前はポータルサイトなどに広告を掲載していましたが、今はほとんど行っていません。田端の患者さんで、こちらに来られる方のために道案内を兼ねた電柱広告を行っている程度ですね。引っ越し先の福島や栃木、山梨からメンテナンスにいらっしゃる方もいますよ。 通りから見た私どもの雰囲気が良さそうだとおっしゃった患者さんもいらっしゃいましたし、今後は紹介の患者さんが増えていく仕組みができれば最高です。紹介に勝る広告はありませんが、費用対効果の高い広告は間違いなくウェブだと言えるでしょう。

スタッフ教育

スタッフの採用について、お聞かせください。

私も臨床研修指導医の資格を取得し、スタッフ教育には熱心に取り組んでいます。月に2回のミーティングを行い、スタッフ間の情報共有に努めています。日々 の問題点もこのミーティングの中で解決していますね。また、火曜日は診療時間を30分、削っての勉強会や症例検討会を行っています。外部から講師を招いた り、外部のセミナーにも参加させたりして、スキルアップを目指しています。

歯科衛生士、歯科助手への教育はどのようになさっていますか。

マニュアルにはこだわらず、臨床ありきの姿勢を大事にしています。スキルアップだけでなく、コミュニケーション能力も向上するような教育を行っています。 非常勤の歯科衛生士は外部の講習にはなかなか参加できませんので、外部から講師をお招きした形で研修させています。火曜日の勉強会は歯科衛生士も参加して いますし、今後も継続的に開催したいですね。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

最初はユニット3台でスタートしたのですが、1年に1台ずつ増え、現在は5台です。7台まで増設できる設計なのですが、そうすると待合室が狭くなってしま いますので、数年後には移転、拡張を行いたいです。近隣で60坪ぐらいの物件があるといいですね。予防歯科をベースとした審美歯科、矯正歯科、インプラン トをさらにスキルアップさせ、地域で一番愛される歯科医院を目指します。
最終的には予防と治療のスペースを完全に分離し、チェア10台ぐらいの規模にしたいです。スタッフルーム、ミーティングルームを確保するだけでなく、今も皆で食事を持ち寄っての食事会をしていますので、社員食堂もできたらいいなと考えています。

開業に向けてのアドバイス

開業に向けてのアドバイスをお願いします。

立地や場所が大事なのは最初だけです。あとは紹介や口コミが生まれる仕組みができれば、順調に伸びていくでしょう。初期投資をできるだけ抑え、資金に余裕 を持たせること、地域の中で先行した歯科医院運営を行うことが必要です。開業後に備えるためにも、勤務医に自費診療を多く経験し、スキルを身につけておか れるといいですね。

プライベート

プライベートの時間はどんなことをして過ごしていらっしゃいますか。

一人のときはドライブをして、夜景を眺め、心を整えています。また、感性を磨くために、高級レストランに行く時間も大事にしていますし、ときにはスタッフ と一緒に行って、接遇の参考にしてもらっています。でも、週の半分は近所で飲んでいますね(笑)。休日は二人の娘と遊んだり、サイクリングをしたり、長い 休みには旅行に行ったりします。 また、日曜日はほぼ隔週でセミナーに参加して、研修しています。間違って、同じ日に二つのセミナーに申し込んでしまうこともありますね(笑)。セミナーで は色々な先生方と知り合いになれますので、吸収することが豊富にあります。

【タイムスケジュール】

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