歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する理事長から学ぶ~

医療法人社団 優成会 優歯科クリニック 理事長 鈴木 誉樹

医療法人社団 優成会 優歯科クリニック 外観

 横浜市南区吉野町は鎌倉街道沿いに広がる街で、中村川を渡る鎌倉街道の橋梁である吉野橋は「かながわの橋100選」に指定されている。優歯科クリニックは横浜市営地下鉄ブルーラインの吉野町駅前に2009年に開業した歯科医院である。「安心して治療に専念できる環境づくり」をコンセプトに、一般診療のみならず、インプラントや矯正治療まで積極的に手がけている。
今月は優歯科クリニックの鈴木誉樹院長にお話を伺った。

医療法人社団 優成会 優歯科クリニック 高田 龍彦 院長

医療法人社団 優成会 優歯科クリニック 理事長 鈴木 誉樹

プロフィール

理事長 鈴木 誉樹
1976年 神奈川県 生まれ
2003年 神奈川歯科大学 卒業
2003年 東京医科歯科大学歯周病教室 勤務
2006年 東京都品川区、神奈川県川崎市、神奈川県横浜市などの歯科医院 勤務
2009年 優歯科クリニック 開設

ITIインプラントコース 修了
MDIインプラントコース 修了
Zimmerインプラントコース 修了
ライフコアインプラントコース 修了

  • 【学会 他】
  • 日本歯周病学会/日本歯科医師会
  • 神奈川県歯科医師会
  • 横浜市南区歯科医師会
  • 日本歯科医師会
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開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけはどのようなものだったのですか。

 父が歯科医師で、歯科医院を開業していたことが大きかったです。小さい頃から父の仕事が忙しいときは歯科医院で食事をしたり、技工室で遊んだりしていましたので、馴染みのある仕事でした。しかし、歯科医師を素直に目指すことには反発があり、最初は文系の大学に進学したのです。そこで大学生活を送るうちに手に職があることへの憧れが出て、いわゆる仮面浪人をして歯学部に入り直しました。親に迷惑をかけてしまったので、親と同じ仕事を選んだのでしょうね。しかし、父の歯科医院を継いではいません。継承するという選択肢もありましたが、一緒に働くと喧嘩になりそうな気がしたのです(笑)。伝統を守ることに意味がある職業ではないですし、私は私で開業しようと考えました。

学生時代に思い出に残っていることはありますか。

 部活動です。軽音楽部に入り、ギターやベースなどの弦楽器を担当していました。コピーもオリジナルもやっていました。ただ、部長を務めていたので、下級生への指導もあり、自分の好きな曲だけできるわけではなかったです。バンドは最近、またやっています。この年齢になると、趣味で人と繋がることができるのがいいですね。

勤務先を選ばれた理由をお聞かせください。

 骨や歯肉といった基本を学ぶにあたっては歯周病科が最適ですので、歯周病科に入局しました。東京医科歯科大学を選んだのは色々な大学の出身者が集まってくるからです。この医局で学びながら、将来の方向性を決めていこうと考えていました。

転職なさったのはどうしてですか。

 医局に所属し、大学病院に勤務していましたが、3年が経った頃にそれぞれのケースごとにトレーニングをしたいと思ったからです。そこで、様々な歯科医院で週に何日かずつの勤務をすることにしました。

勤務先で学ばれたのはどういったことですか。

 技術を含めた全てですね。特に補綴の専門医の先輩歯科医師にはかわいがっていただきました。東京医科歯科大学のご出身ではない先生でしたので、違った観点から補綴を学ぶことができました。遊んでもらうこともありましたね。開業後は保険外診療の比率を高めたいと考えていましたので、勤務医時代には保険外診療を意識的に勉強していました。

開業しようと決断されたいきさつはどんなことだったのでしょう。

 歯科医師を目指していたときから開業したいという気持ちが漠然とあったので、勤務医時代は資金を貯めていました。ただ、開業を決断したときからいい物件が見つかるまで2年かかりました。

開業地はどのようにして探されたのですか。

 横浜市やその近郊で探していたところ、この物件が空くと教えていただいたのです。以前、吉野町に住んでいたことがあり、土地勘がある場所なのでいいなと思いました。ここは吉野町駅にほぼ直結していますし、吉野町3丁目交差点に面しているので、視認性が高く、大きな看板が出せそうだったのが良かったです。この交差点は横浜駅のみならず、戸塚、港南台、大船、上大岡といった駅へのバス通りでもあります。以前はユニフォーム会社が入っていたビルで、ビル自体は古かったのですが、場所は最高でしたね。

開業にあたってはどんな苦労がありましたか。

 内装です。このビルは三角形と四角形の建物がくっついているので、制約が大きく、デザインしようにも工夫ができなかったのです。しかし、何とかリフォームしたかったので、10周年を機に、チェアを1台増やして、4台としました。

開業にあたってのコンセプトなどをお聞かせください。

 1軒目ですし、街の皆さんから好かれる歯科医院にしたいと思いました。歯周病は売上にならないので軽視されがちですが、私は歯周病科出身者として、街の皆さんを啓蒙していきたいとも考えていました。ほかの歯科医院が軽視していることを攻めて、ベースを整えてからインプラントなどの派手なことをしようというコンセプトでしたね。

設計、レイアウトの工夫などをお聞かせください。

 内装業者と話し合い、何パターンかを出してもらった中で決定しました。しかし、リフォームは別の会社に依頼しました。ビルが古く、三角形と四角形の建物がくっついているうえに、動かせない柱があり、通路の位置も自ずと決まっていますので、苦労しましたね。今後は土足で入れるようにすることで待合室を広くし、手術室やユニットをリフォームすることを検討中です。

経営理念

経営理念をお聞かせください。

 歯科に通院すること、歯磨きすることの大切さを啓蒙して9年が経ちました。ずっと通ってくださっている方々のレベルは上がりましたが、地域的にはまだまだだと感じています。また、経営にあたってはスタッフも大事です。私どものスタッフ間には派閥もなく、妊娠や出産後に復帰するスタッフが多いのも特徴です。よく食事会や飲み会を開催していますよ。利益が出れば、毎月3万円から10万円の手当もつけています。ほぼ毎月、出ていますね(笑)。福利厚生も整備しています。ただ、長期休暇中のスタッフが戻ってくるまでに増員が必要ですから、歯科医師と歯科衛生士が1人ずついればと思っています。ゆとりのある空間に事業展開したくてもスタッフがいないとできませんので、スタッフが揃い次第、分院の展開を開始します。

診療方針

診療方針をお聞かせください。

 歯周病の専門医として、抜歯までは粘ります。それは患者さんの協力なしではできませんから、教育や啓蒙に力を入れています。患者さんが歯磨きしないことには何もできないのです。

患者さんの層はいかがですか。

 1歳から高齢の方まで幅広く来院されています。吉野町はオフィス街と住宅街がいい意味で中途半端に混じり合っていますので、吉野町にお住まいの方だけでなく、お勤めの方もおられます。私が川崎の歯科医院や大学病院に勤務していた頃の患者もいらっしゃいます。インプラントは口コミでの紹介患者さんが多いですので、遠くからも来られますね。

自費と保険の割合について、お聞かせください。

 ほとんどが保険診療です。自費の売上は3分の1といったところでしょうか。自費をこれから少しずつ増やしていきたいです。

増患対策

どのような増患対策を行っていらっしゃいますか。

 ホームページと表に出している看板だけです。開業して9年経っていますが、いまだに増患しているのが有り難いです。

スタッフ教育

スタッフ教育について、お聞かせください。

 「きちんとやってね」と言うぐらいです(笑)。私どもには新卒の歯科医師はおらず、大学病院勤務の人が私どもで非常勤勤務をしていることがほとんどなのですが、技術については聞かれれば教えます。職場は学校ではないので、勉強させてもらって収入を得るところではありません。ただ、インプラントの手術を見学させたり、勉強会出席へのサポートはできる限り行っています。一緒に飲みに行くこともありますね。

歯科衛生士、歯科助手への教育はいかがですか。

 歯科医師同様、勉強会への参加を勧めています。女性はどうしても派閥を作りがちですが、それは生産的でないので、面接の際に厳しく言っています。入職後は歯科衛生士のチーフが主に教育にあたっていますが、流れができているので、新しいスタッフも馴染みやすいようです。スタッフには「俺の悪口は言ってもいい。でもスタッフの悪口は絶対に言うな」と言っています。お蔭様で、非常にうまくいっています。私抜きでミーティングや食事会もしていて、ミーティングの最後だけとか、食事会のときは会計だけに呼ばれたりもします(笑)。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

 歯科医師と歯科衛生士などの人材が揃えば、何でもできます。患者さんの予約待ち期間が伸びてきたこともあり、ここから2、3駅ほど離れたところに分院を作りたいのです。新しく攻めるというよりは患者さんの満足度を向上させたいですね。新規の患者さんを分院にお呼びし、ゆとりがあって、エクスペンシブな雰囲気の中で診療できればと考えています。

開業に向けてのアドバイス

開業に向けてのアドバイスをお願いします。

 ほとんど儲からないから止めておきましょうと言いたいです(笑)。昔はアドバンスな歯科診療がもてはやされましたが、今は昔と違って、基本が大事です。インプラントができることは当たり前のことですが、患者さんをその気にさせる誘導ができるかどうかが問われています。問診票とインタビューで患者さんの情報を引き出し、患者さんとの会話からお金やスケジュールの都合を理解して、治療計画を立てることができれば、メンテナンスに通ってくれるでしょう。ビジネス本を読んで成功するなら、皆が成功します。人をどこまで読めるかなのです。それができた人のところに患者さんは集まるのだと思います。

プライベート

プライベートの時間はどんなことをして過ごしていらっしゃいますか。

 子どもと遊ぶのが好きで、日頃は公園や水族館、テーマパークなどに行きますが、長い休みになるとサイパンに旅行します。去年は4回も行きました。男の二人旅なので、怪しく見えるのか、イミグレーションでチェックされたこともあります(笑)。海が好きなので、サイパンではジェットスキーを楽しんでいます。

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