歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

ニシオ歯科 西尾 院長

抜群の夜景が見える明治生命新浦安ビル12階のニシオ歯科。
開業当初から広告等は一切打たないで、核となる3人の患者作りと口コミで患者を獲得されました。一時期新患は3ヶ月待ちで、現在も新患は1ヶ月先とのこと。また再診患者は半年先となる平成17年6月の検診の予約が入っているニシオ歯科の院長・西尾先生にお話を伺いました。

ニシオ歯科 西尾 先生

ニシオ歯科 西尾 院長

勤務医時代

ニシオ歯科西尾先生は奈良県生まれ。日本歯科大学を卒業後、東京医科歯科大学付属病院第一口腔外科に約6年間勤務しました。
「大学病院時代も研究は一切しないで、患者さんの治療に専念していました。たいていの先生が嫌がる、舌痛症などの心因性疾患の治療が得意でしたね。またその治療過程で医療催眠を学んだことによって、麻酔なしに歯を抜歯できる技術もマスターしました。しかしこういう治療は教授の意向に添わなかったので、辞めることになってしまいましたが・・・」

その後、浦安のある診療所に勤務していた西尾先生は、統計を取ったといいます。

「その診療所はバスでしか通えないような場所にも関わらず、患者さんが多くて。試しに患者さんの住まいを地図上でドットしてみたら、意外と広範囲だったのです。そこで患者さんは納得できる治療が受けられるのであれば、多少不便でも来てくれるのだと確信しました」

しかし実際、西尾先生が開業したのは浦安駅前に建つ明治生命新浦安ビルでした。そこで理由を伺ってみると「スタッフを募集するには、通勤に便利な駅前が良いだろうと思いました。そんなとき駅前に建った明治生命新浦安ビルをみて、ここで開業したいと・・・。さっそく明治生命の本社にプレゼンテーションに行って、これまでの経歴とどんな歯科医院を経営したいかと説明しました」と西尾先生。こうして平成2年11月に「ニシオ歯科」を開業されました。

開業医として

診療所内は開業して14年を経ているとは思えないほどきれいなので、その点を伺ってみました。

ニシオ歯科「朝一番の患者さんが来院したときは、ゴミひとつ落ちていません。それはいつも開業した当日と同じ状態に戻す努力をしているからです」

開業当初の広告宣伝については、 「3人の核となる患者さんを作る努力をしました。人は3人が同じことを言うと、信じるものです!患者さんが病院を選ぶとき、特に痛みを伴う科や恐ろしいイメージを持っている科の場合は、必ず人に聞くものです。そのなかで1人、2人、3人が同じ病院の名前を出してきたら、皆が良いと思うでしょう。当院は口コミだけで伸びてきました」と語る西尾先生。

また浦安駅前という場所柄、患者層は50歳前後の大人を予想していたニシオ歯科でしたが実際は主婦が多く、子どもは少ないとのこと。

「大学教授、パイロットが意外に多く、一部上場企業の重役、その奥様もいます。女性の患者さんが多いのは事実で、女性の口コミパワーだと思いますね」

東京はもちろん横浜、那須、韓国、北京、アリゾナからもFAXやメールで予約がくるニシオ歯科の予約状況を伺ってみました。

「予約診療なのに20分、30分も待ったら、本当の意味での予約ではないと思っています。例えば歯槽膿漏治療の一環で歯磨き指導をしますが、何十年間行ってきた患者さんのくせを変えるためには、どうしても通院回数が多くなります。そうした中で予約時間を守ろうとすると、1日26人位診るのが限度ですね。一時期新患は3ヶ月待ちということもありましたが、現在は新患がひと月待ちです。平成16年12月の時点ですでに、平成17年6月の検診の予約が入っています」

西尾先生は予約時間の厳守だけでなく、患者に対する説明も徹底的に行っているといいます。

「あまり説明すると患者さんが賢くなって困ると思う先生もいるかもしれませんが、私は患者さんに説明してあげることが大事だと思っています。その際医学用語はいっさい使わずに、わかりやすい言葉で繰り返し行います。また子どもは無理に押さえつけないで、『(椅子に座ったら)はい、今日は帰っていいよ』『うがいをしたら終わりね』というように、徐々に慣れさせていくと、そのうち怖がらなくなるものです。そのため、歯医者が好きなお子さんが結構いますね」

また西尾先生のポリシーは「早く治療を終えて、みんなで早く帰る」。医師とスタッフの関係が良好なことが、おのずと患者さんの集まる環境の診療所になるのでしょう。

今後の歯科医院経営

ニシオ歯科これからの歯科医院経営について展望を伺いました。
「よくスタッフの人件費が高いと聞きますが、それを解決するために先生自ら雑用を行えば良いわけです。するとその分、スタッフの負担が減るので、相対的にスタッフの時給が上がることになります。私の場合は朝スタッフより早く来院して朝の支度を全部終えます。また器具を洗ったり、セットを組むことも度々あります。今後は私のこれまでの経験をふまえて、歯科経営を手助けする仕事をやっていきたいですね」

開業予定の先生に対して一言お願いします。

「専門分野の歯科関連の本を読むより、全く畑違いの一般書を読みあさって幅広い知識を得ることが開業し経営していく上で役立ちました。自分の明かりをもつことです。つまり人に聞いて判断するのでなく、必ず自分でどうしようかと色々悩みながらも、自分の頭で考えることが大切です。患者さんが100人いれば100通りの考え方があるのですから、自分で判断できないと対応できないと思います。自分で悩むことで、ひとつ生まれたことは必ず次につながります」

「そのほか話すことはたくさんあって、一回のインタビューでは話し切れませんでした」とおっしゃる西尾先生。次回はニシオ歯科の患者として、先生の豊富な話題の続きを伺いたいと思いました。