歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

北戸田デンタルクリニック 米永昭宏 院長

現在、コンビニよりも多い歯科医院。若い勤務医にとって臨床経験を積みにくい環境になったという声を聞くが、中でも義歯についてはほとんど触る機会がないということも多いようだ。
今回、イオンジャスコ北戸田ショッピングセンター内にある北戸田デンタルクリニック、院長の米永先生にお話を伺った。

北戸田デンタルクリニック米永先生はS39年、三重県伊勢志摩に生まれる。全校で15名という小学生時代を過ごし、高校時代にはすでに親元を離れ下宿していた。自分の知らない環境に身を置いて挑戦していく姿勢はこの頃から形作られたようだ。

「父親は教員でしたが、教員になれとは言いませんでした。漠然とですが、手に職をというのは当時からありましたね。それで鹿児島大学歯学部に入学したわけですが試験が2ヶ月に一回あって進級についてはかなり厳しかった。一学年80名のうちストレートに卒業するのは毎年5割~6割でした。自然と学習に専念する環境でしたね。」

1人旅がお好きだそうですが?

「在学中、一年間休学して中国から西アジアへ続くシルクロードを旅したんです。インド、タイ、パキスタン、フィリピン、それぞれの国の文化や価値感を肌で感じることができました。あと、九州一帯をバイクで回ったりもしましたね。」

1人旅がお好きだそうですが?

「在学中、一年間休学して中国から西アジアへ続くシルクロードを旅したんです。インド、タイ、パキスタン、フィリピン、それぞれの国の文化や価値感を肌で感じることができました。あと、九州一帯をバイクで回ったりもしましたね。」

勤務医時代

北戸田デンタルクリニック多くのドクターがいる環境に身を置きたい、早く技術的にも経済的にも一人前になりたいと考えた米永先生は、場所を問わず在籍ドクターが多い医療法人を見学して回る。その中で新人を育成する組織やカリキュラムが整っていたという理由から関東でも勤務医の多い医療法人に就職し、そこで以後5年半に渡り勤務医生活を送る。

「それにしても最初はつらいの一言でしたね。最初から1人の医師としての診療を要求されましたから。通勤定期が3ヶ月ごとに支給されるのですが、それを受け取る度にまた3ヶ月できた、頑張れたの繰り返しでした。しかし、今思えば患者さんに対する接遇はもちろんのこと、社会人としての常識・マナーに至るまでの教育をしてくれましたし、何事もどんどんやらせてくれる環境がありました。最近は非常勤で勤める先生も多いですよね。たくさん見たいという価値観もわかりますが、医院スタッフとの付き合いがうわべだけになることが多いと思うのです。組織に属したり、院長と四つに組むような環境の中でこそ本当の意味での経営ノウハウや技術を学ぶことができるのではないでしょうか。ひいては患者さんとのお付き合いの仕方にも影響していくことだと思います。一度その医院のカラーに染まってみることも必要です。」

「同僚のドクターとつるべの関係になり、連携を取って後輩の面倒を見ていました。後輩一人一人のカラーを理解し、引っ張っていくためのリーダーシップの必要性と大切さを学びました。また、この頃から将来の開業を考えて垂直加圧根充、顎位運動などのセミナーにも積極的に参加していました。当時は三次元顎位運動に関するコンピューターシミュレーションソフトが出回り始めた頃でした。」

開業

北戸田デンタルクリニック「当初は三重に戻るつもりだったのですが、結局関東圏での開業を選びました。コーヌス、アタッチメントなどの補綴を得意としていましたので、これらの自費のニーズがある場所を探していました。」

都内で100件近くの物件を見て回ったが、どれも決心できるものでは無かったという。そんなある日ジャスコショッピングセンター内のクリニックが居抜き物件として持ち上がる。

「以外なくらいあっさり決めました。まだまだ患者さんを増やせる場所だと思いましたし、ジャスコは三重県四日市が創業である岡田屋が前身ですからこれも何かの縁かなと。(笑)」

1996年に既存医院からクリニックを引き継ぎ、27坪、ユニット4台でスタート。2002年に患者増に伴いユニットを6台に増設、ジャスコそのものも2004年にリニューアルをしたため診療スペースも39坪、ユニットも9台となり、より多くの患者に対応できるようになった。当初は居抜き案件をどのように盛り立てていくかが課題であったという。

「中にいる人間が変わるということで離れる患者さんを意識しました。既存の患者さんがもっと良くなったよと言ってくれるような医院作りに努めました。既存医院の関係者の協力も得てはじめの一ヶ月間を一緒に診療し、引継ぎがしっかりできました。フェーストゥフェースを大切にと接遇には特に気を配りましたね。自分の中にこうして行きたいという方針は当然ありましたが、既存医院のカラーを壊さないように踏襲し、徐々に地域のニーズに応える形で方針を打ち出してきました。

より地域に密着し、幅広い二―ズに対応することをめざして

「コーヌス、リーゲルデンチャー、フレキサイトデンチャー、アタッチメント(コンビロック、ロボロック、井上式アタッチメント)などをはじめとする補綴治療の実績には自信があります。2007年には団塊世代が退職する時期になるわけですが、今以上に義歯の需要は増えます。特にノンクラスプ義歯のようなものは増えるのではないでしょうか。患者さんの歯内、生活環境によって希望は異なりますので、例えば義歯・インプラントを患者さんに選択していただくことで幅広くニーズに応えて行きたいですね。インプラントについてはより特化したドクターを招聘しています。」

ショッピングセンター内にある北戸田デンタルクリニックは開業10年を向かえ、患者層も幅広く老若男女を問わない。また、所得層も多種多様であるためニーズも幅広い。

「近くの住宅地には同じ世代の住人が多いということもあるのですが、一緒に年を取って行きたいですね。」