歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

ふじひら歯科医院 藤平敬 院長

兵庫県加古川市のふじひら歯科医院は開業4年目を迎え、転換期となるであろう改革を行っている。このほどチェアを1台増設し、予防治療を本格的に始めることになった。「キュアからケアへ」の転換である。
「患者さんが求められることは全て提供できるようにバリエーションのある治療を提供したい」と語るふじひら歯科医院の藤平敬院長にお話を伺った。

ふじひら歯科医院 藤平敬 院長

ふじひら歯科医院 藤平敬 院長

お問い合わせ先

電話:0794-25-8241
メール:happysmile2221-dentalclinic@yahoo.co.jp

開業まで

ふじひら歯科医院藤平先生は1968年に兵庫県氷上郡(現在の丹波市)で生まれた。「皆さんの役に立つ資格を取りたい」という思いから、歯科医師を志したという。徳島大学歯学部を1996年に卒業し、京都市の医療法人奨和会に就職した。
「大学を卒業するときには将来的に開業することを考えていました。そのためのスキルを身につけたかったので奨和会にお世話になることにしたのです。奨和会は学術的なことから人間的なことまで全てにわたって勉強させてもらえます。厳しいことがウリで、寝る時間を惜しんで勉強しました。」

奨和会の分院の一つである堀川歯科医院の分院長なども経験して開業に際しての準備を重ねた。一方では訪問診療にも取り組んだという。

「奨和会には訪問診療用の車があるのですが、私はバイクに荷物を載せて、患者さんのお宅に伺ったりしました。患者さんとじかに触れ合えて親近感が感じられますね。訪問診療は今も興味のある分野です。」

開業

ふじひら歯科医院奨和会でインプラント、矯正、小児歯科など、現在ふじひら歯科医院で行っている診療の基礎となることを学び、2002年に加古川市野口町二屋にふじひら歯科医院を開業する。新しい街並と街路樹のある風景に惹かれたという
設計に際しては、開放感があり、バリアフリーで、患者さんの動線にスロープをつけることにこだわった。

「高齢者の患者さんが非常に多いというわけではないのですが、車椅子が通れるスペースの確保は必要だと思いました。患者さんの中に病院勤務の看護師さんがいらっしゃるのですが、看護師さんが車椅子の患者さんに私どもを勧めてくださっているようですね。」

なお、この建物は兵庫県の「福祉のまちづくり条例」のもとで、その設計が認められ、適合証の認証を受けている。

開業当初はチェアは3台であったが、現在は5台である。藤平先生は「特に増患対策などはしていません。」と謙虚に語るが、実際に広告といえるものはタウンページの掲載のみであるという。

「広告の効果にはあまり期待していません。患者さんの満足を第一に考えるという私どもの理念に立ち帰ることが増患対策だと思っています。このほか日々のミーティングと月に1回はスタッフで全体ミーティングを行っています。スタッフには明るい挨拶と患者さんとのコミュニケーションの重要性を話しています。」

スタッフは歯科衛生士が2人で、アシスタントが5人という陣容だったが、このほど予防歯科への傾注に備え、歯科衛生士を3人増員した。5台目のチェアは衛生士専用のチェアとなる予定である。このチェアは従来のものとは異なり、対面型の「コミュニケーションモデル」と呼ばれるもので、歯科衛生士の高いスキルが必要となる

小児歯科

ふじひら歯科医院ふじひら歯科医院では小児歯科も標榜している。待合室にはカーペットを敷き詰めたキッズコーナーがあり、ビデオを流して待ち時間を快適に過ごせるような工夫を欠かさない。ぬいぐるみやおもちゃなども揃えている。
「小児歯科では泣かせない診療ということをまずは心掛けています。妻も歯科医師なのですが、うちにも6歳と3歳の子どもがおり、子どもの友達のお母さんたちから妻を通じてアドバイスを頂くこともあります。最近、子どもの患者さんで『僕も将来歯医者になりたい』と言ってくれた子がいて嬉しかったですね(笑)。」

このほか子ども連れの患者さんのために、チャイルドシートやベビーラックを設置している。これは「子どもを安心して連れていける」と好評のようだ。

小児歯科から矯正歯科へと移行する患者さんも多い。ふじひら歯科医院では月に1度、矯正の専門医を招き、診療を行っている。

「子どもの発育を上手く使う診療を取り入れています。あごを広げると非抜歯でできることが多く、なるべく元の歯を生かしながら無理のないように行っています。それから保護者の方とのコミュニケーションを円滑にしていくことも結局はデンタルIQの向上につながるのではないでしょうか。そういった一般歯科の強みも出したいですね。」

スタッフとのかかわり

ふじひら歯科医院ではスタッフ面接に時間をかけている。面接の前には、医院の理念を説明し、求める人材を明記した院長からの手紙を手渡し、医院の見学を促す。そのうえで面接という流れになる。

またスタッフは「業務日報」を書いている。これには患者さんとのコミュニケーションの中で嬉しかったこと、日々考えていること、など様々なことが書かれているという。スタッフも業務日報を書こうと思えば、患者さんとの間に「嬉しいこと」「患者さんにとって良いこと」を行おうという意識が芽生える。そうすることでスタッフ自らが考え、自主的に行動するようになっていった。

「『院長へのメッセージ』という欄には今思っていることや、医院として改善していきたいことのほか私の体調などを気遣ってくれるメッセージが書いてあることもあり、そういった心配りができることが嬉しいですね。そういう気遣いができれば、仕事への使命感を生み、仕事自体が良い方向に向かうので自分も成長すると思いますよ。この日報では私から返事を書く欄もありますので、日曜日はその作業に追われています(笑)。」

「歯科医院は医師だけではうまくいかないのです。スタッフの役割は大変大きなものです。休みの日にも医院の準備作業などをやっているスタッフもいますし、ありがたいですね。」

ふじひら歯科医院では歯科医師を募集中である。藤平先生に求める歯科医師像について伺った。

「技術よりも、やはり一番は誠実な方ということにつきますね。患者さんに対してだけでなく、誰に対しても誠実な方ということです。最近では患者さんの目も肥えていますし、ほかの歯科医院から移ってこられる患者さんもいらっしゃいます。そういうときこそ患者さんの話をゆっくり聞いてあげることが必要ですね。聞くことも治療だと思っています。患者さん、スタッフとの和を大切にでき、社会人としてのモラルを持った方を希望します。」

今後の展望

最後に、今後の展望についてお聞きした。

「今後は予防歯科に力を入れていく予定です。キュアからケアへという流れの中で、自費診療部分も強化できたらと考えています。そして、あくまでも患者さんにとってベストな診療を提供していくことですね。ちょうど開業して4年目を迎えましたが、ここまで大きな問題もなく診療ができたことには皆さんに感謝したいと思っています。」