歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人社団友和会 太陽歯科診療所 櫻井善明 診療部長

下町西日暮里駅前の位置する太陽歯科診療所を本院とする医療法人社団 友和会。
東京下町で祖父から三代続いている歯科医院だ。今回はその三代目、太陽歯科診療所で医院長として歯科医院の経営に携わっている櫻井 善明 先生にお話を伺った。
「患者さんの為にも、出来る限り治療する歯を削らない。」と言う診療理念を持ち、その結果患者様が求める自由診療を展開して、医院経営の新たな形を造ろうとしている。
現在、医療法人社団 友和会は都内に2箇所、埼玉、千葉にそれぞれ、地域密着型の診療所があり、足立区にはまもなく設立30年になる太陽歯科衛生士専門学校の運営も行っている。

医療法人社団友和会 太陽歯科診療所 櫻井善明 診療部長

患者様が求める自由診療/ 医療法人社団友和会 太陽歯科診療所 櫻井善明 診療部長

プロフィール

  • 昭和45年東京生まれ、平成8年に東京歯科大学を卒業し、大学院で生化学を4年間学んだ。
  • 大学院在学中、週2回非常勤勤務で、歯科治療全般とインプラントを習得。
  • 卒業後父親(理事長、学校長)からの要請にて平成15年から現診療所の医院長として勤務。
  • 東京歯科大の非常勤講師でもある。
  • 趣味はモータースポーツ。主にダート・トライアルで休日は汗を流している。

歯科医院の沿革

歯科一家

お祖父様は、大正時代、アメリカで歯科を勉強して、東京町屋で「さくらい歯科」を開業した開業医。お父様は、そのあとを継いで、5つの歯科医院だけでなく、太陽歯科衛生士専門学校を創設した大経営者である。櫻井先生は語る。「父は経営者として尊敬しています。歯科医師会にも顔が広いし、日本衛生士協会の会長も歴任しています。しかし残念ながら創業の「さくらい歯科」は3年前に不採算なため、スクラップ&ビルトの考えにより閉院しました。」

スタイルの異なる4つ医院

医療法人社団友和会 太陽歯科診療所 医療法人友和会は現在4医院を開設している。そのひとつひとつの特徴を櫻井先生に説明していただいた。
「太陽歯科診療所は、最新装置を完備し、自費中心の治療に移行中です。患者様に自費診療のよさを納得してもらうには、最新装置でご説明することが大切です。花畑診療所と掛川ビル歯科は、地元密着型のいわゆる町の診療所で、保険診療が中心です。アリオ蘇我太陽歯科は、ショッピングセンター内にあり年中無休で診療しています。 いつでも患者様の都合に合わせて治療が行なえる、コンビニのような診療所として患者様には好評を得ています。」

太陽歯科衛生士学校

学校経営の理念として「歯科衛生士という職業人である前に、人間として思いやりをもって人に接することができるということを一番大切である。」としている。毎年100名程度の衛生士を世に送り出している

診療理念

MI(ミニマル・インターベーション)とメタルフリー

現在、日本の保険診療の場合、時間的・材料的な制約から、本当に悪い部分だけでなく、その周辺の健康なエナメル質まで、削ってしまうことが多い。
櫻井先生はこう語る。

「我々も2年ほど前までは、保険診療中心の治療をおこなってきました。しかし考え方や方針を大転換して、患者様のための、極力削らないための自費診療を薦めています。」

自費診療というと、患者に納得をしてもらうことが大切だと思われるが、それについては「一人一人の患者様に対して納得がいくまで説明を行います。時には1時間の診療時間のうち50分を患者様との会話に費やすこともあります。誰一人、自分の歯が必要以上に削られることなど望んでいませんから、じっくり患者様と向き合うことで、自費診療だということにも理解を示して頂けます。」

もう一つの診療理念は、患者の口腔内に一つも金属を入れないことである。

「これも、自費診療として患者様に対して時間をかけて納得のできる説明をすることが必要です。パラジュウムでは、本来健康な歯が削られてしまったり、金属アレルギーの原因となったります。メタルフリーこそ自分が提供できる最高の治療法だと患者様に説明をすれば理解して頂けます。」

マイクロスコープによる治療

マイクロスコープは、現在日本に200台位しか導入されていません。
医療法人社団友和会 太陽歯科診療所「今までは、見えない部分に関しては勘と技術に頼って削っていました。この機械を使う事により、歯科医師自身もモニターを見ながら削ることができるようになっただけでなく、患者様に自分の歯をリアルタイムで見てもらいながら説明ができるようになりました。」

現在、実際にこの機械を治療に役立てている歯科医師は20名ほどしかいないようですが、
「ご自分の歯を見せながら、保険診療と自費診療の範囲や違いの説明を行うと、説得力が異なります。」

経営方針

保険診療から自費診療

現在、櫻井先生のおられる太陽歯科診療所では保険診療収入が約20%程度となっている。約2年程前は95%程度が保険診療であったが、徐々にその比率を落とし現在に至っている。

「それまでの30分診療から1時間診療に転換しました。この転換の効果が非常に大きかったと思います。実際、5分程度の治療であっても50分以上をその治療の説明に充てるようにしています。それは、歯科医である自分自身が受けたいと感じる最善の治療方法を説明するためです。またその治療の本質についても20万円とか30万円といった法外な金額の治療ではなく、2~3万円程度で納まる治療を行うことで患者様にも充分にご納得して頂けまた満足して頂ける治療に専心しています。」と、先生は語る。

その後は、特別な増患対策を工夫する必要も無く確実に増患を果たすが、この点についても「1時間診療を実施することで1人の患者様に手厚くかつご満足頂ける治療ができるようになりました。勿論、保険診療で1日に40人程度の患者様を治療するという従来の選択肢もありましたが、私は患者様一人一人に充分な治療を提供できる道を選択した結果それぞれの患者様と確実な信頼関係を得ることができ、そして口コミという皆様の高い評価が最終的に増患にも繋がりました。」>と、この点も非常に謙虚に先生は答える。

宣伝、広告

ホームページ以外に宣伝、広告は行っておらず、前述の口コミの影響が大きいようだ。また、櫻井先生は「インターネットの『ハーネット』にネットドクターとして、読者の相談にのっていますが、増患に結びついているかは疑問ですね。」とも言われる。

自費と保険の割合について、お聞かせください。

自費が4割、保険が6割です。説明を丁寧に行っているうえ、もともとの意識が高い患者さんが来院されていますので、自費の割合が高いですね。近隣に玉川学園や金井といった高級住宅街があることも要因かもしれません。

スタッフ教育

スタッフにも「自分がこういう治療をしてもらいたい」と考える治療法について患者様に丁寧に説明をして、納得をしてもらうことが大切だ、と教育をしている櫻井先生はスタッフにも院外での勉強会には積極的に参加をしてもらっている。

「歯科医と衛生士が、できるだけ一緒に参加して、治療に関する考え方を共有することも大切と考えていますし、後に衛生士より「先生、あの患者様にはあの勉強会の治療法がいいのでは?」という会話がでれば成功です。」
と先生は語る。

将来の展望

極端な事をいうと「衛生士の歯の管理のみで治療のない歯科医院」の経営が理想。

歯科医の治療の出番がなく、自分と同じ考えを持った衛生士の管理と経営に特化したい。
医療法人社団友和会 太陽歯科診療所