歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック 木村慎一院長

今月紹介するドリーム歯科クリニックは、医療法人きむら歯科の3番目のクリニックである。
平尾というロケーションで、「地域の皆さんと健康や夢を共有できる新しいタイプの歯科医院を作りたい」という院長自身の気持ちと、今までやってきたことや身につけた技術に加えて、「夢があふれる歯科医院」というコンセプトで2006年3月にオープンする。西鉄大牟田線平尾駅の駅ビル3階の医療モールに位置するが、平尾は福岡市の中心部でありながら高級住宅地でもある。
院内は患者さんにもっと歯科医院に親しんでいただくため、こだわりと遊び心に満ちあふれ、医院のミッションである「夢」と「感動」を与えつづける、まさにドリーム歯科ワールドとなっている。

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック 木村慎一 院長

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック 木村慎一院長

プロフィール

  • 1959年2月14日に熊本県山鹿市で生まれる。
  • 1983年福岡県立九州歯科大学を卒業し、長崎県西彼杵郡長与町の清水歯科に勤務する。
  • 1985年に長崎県平戸市で半年間分院長を務め、1986年5月福岡市早良区で、きむら歯科を開設する。
  • 2004年に室住団地歯科クリニックを開設、2006年3月にドリーム歯科クリニックを開設し、現在に至る。
  • 現在、ドリーム歯科クリニックでは、常勤歯科医師を募集しています。

開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけから、お聞かせ下さい。

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック歯科医師を目指されたきっかけから、お聞かせ下さい。
小学校の頃に、母親から「あなたはお医者さんになりなさい。」「歯科は、夜中の急患などないから歯科医になりなさい。」と言われ、とても素直だった私はただ単純にそう思い込み、歯科医を目指しました(笑)。当時の歯科医は外科医の次に高収入という時代でしたので、その点も子どもだった私にはとても魅力的に映りました。

開業をお考えになったのはいつですか?

今から20年以上も前のことですから、卒業して数年間の勤務医生活を経たら開業するというのが当時の主流でした。私の場合も3年勤めたら開業すると初めから思っていました。というか思い込んでいました。そして27歳のとき、30歳までには分院を持つという目標を立て、開業しました。結局30歳までには分院を持つ夢は叶いませんでしたが。開業の場所は業者の方とマーケティングや立地調査をし、将来性も考慮したところ、九州の中心はやはり福岡市だと結論し、今の場所に決めました。  まだバブルが始まる前の不景気な頃です。自己資金もほとんどゼロに近い状況で、全て借り入れでした。保証人は妻で、担保は購入した土地と建物だけでした。今では考えられないことですが、建築を依頼した会社の社長さんが銀行に顔が効く方で、この条件で開業資金9000万円の調達ができました。資金調達の苦労はあまり記憶にありません。幸運だったのですね(笑)。

開業当初はどんな雰囲気だったのですか?

スタッフ構成は妻が受付を担当し、歯科助手3名、技工士1名の6名体制でスタートしました。1日の来院数は私が見込んでいた数を下回る30名くらいでしたが、削って詰める補綴中心の診療で、当時歯が悪い方が多かったこともあり、診療報酬が入る2ヶ月先まで、窓口収入だけで充分にやっていけました。 また、税務の勉強をして設備法人を最初から設立しました。医院の PRは地域の会合へ参加するぐらいで、マーケティングなどは深く考えていない時代でした。しかしながら、がむしゃらに頑張れば患者さんはついてくると確信していました。開業して2、3年ぐらいからバブルが始まりましたが、田舎なので好景気とは無縁で、逆に人手不足に苦しむという事態に直面しました。スタッフ採用には本当に苦労しました。採用方法として新聞折込のチラシや求人雑誌を使ったのですが、ほとんど効果はありませんでしたね。 建物は100坪の土地に1階が50坪の駐車場で2階に50坪の診療室を作りました。階段は急でした。まだ若かった私の頭の中には、広い駐車場、広いスペースでの診療がベストであり、バリアフリーという概念は全く存在しませんでした。内装も今でこそ診療室は個室志向ですが、昔はオープンでゆったりしたスペースが動きやすく、一括して管理しやすいと言われていました。 しかし、年を経るとともに、患者さんも高齢化して、敬老会のお祝いに行ったとき「先生の診療所の階段は急で登れない」と言われたことをきっかけにエレベーターを設置しました。同時に外観や内装も大幅にリニューアルすることになりました。

経営理念

医療法人きむら歯科の基本理念をお聞かせ下さい。

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック医療法人きむら歯科のクレドを紹介します。

クレド

来院された方々に夢(ドリーム)と感動を与え続けるクリニックでありたいと考えます。そのために、私たちは常に、最新、最高の治療およびメンテナンス(予防処置)技術を追求します。また口腔内にとどまらず、皆様の心の健康につながるような医療サービス(接遇)を提供することをお約束します。それは皆様のこぼれるような素敵な笑顔に出会いたいと願っているからです。 また私たちは患者様への約束として3Cを厳守します。

3Cとは
Clean(クリーン)
清潔で衛生的な診療室 お口の中に入る器具はすべて滅菌します。治療用グローブは患者様ごとに使い捨てにします。 可能な限りの清潔を心がけ、感染防止に努めます。

Consultation(コンサルテーション)
分かりやすい説明・相談。あなたには自分が受けたい治療を行ないます。すべての処置は分かりやすく説明することを心がけます。

Communication(コミュニケーション)
あなたには、チームメンバー一同フレンドリーに笑顔で接します。当院はヘルスケア型の歯科医院です。予防を重視した診察をします。予防型の医院の特徴はチームメンバーが明るいことです。

以上が医療法人きむら歯科・ドリーム歯科クリニックの基本理念の柱です。私どもはコンセプトとカンパニースピリットを大切にしています。そのため毎日スタッフ全員で朝礼の際、意識付けを再確認しています。

介護保険の導入

訪問診療にも積極的ですね。

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック2000年の介護保険の導入により訪問診療にフォーカスしました。コムスンが介護業界に参入した頃で、福岡で最初のコムスンとの提携歯科医院になりました。当時は1ヶ所の診療所から同じ時間帯に2ヶ所の施設に訪問した場合、診療報酬は1ヶ所からしか算定できないという規制がありました。しかし、あまりにも往診が増えすぎて、業務に支障が出始めたため、その受け皿が必要になりました。そこで2004年3月に室住団地歯科クリニックをオープンすることを決めたのですが、翌4月からその規制はなくなってしまい、分院を開設した意味がなくなってしまいました。でも30歳までには分院を持つことが以前からの目標でもあり、全く後悔はしませんでした。現在、このクリニックは今年6月に良く頑張ってくれた分院長に暖簾分けしています。 訪問診療は、現在きむら歯科の方でほとんど行っています。

■増患対策

来院数を伸ばすために、どんな増患対策を考えられましたか?

きむら歯科では特に深く考えてはいませんでした。リコールは開業時から行っていました。老人会に行き、講演をしたこともあります。診療の幅を広げれば増患につながると考えていましたので、まず歯周病の勉強から始め、次に矯正の勉強、予防歯科、インプラントの導入を行いました。ドリーム歯科クリニックではホームページの充実に力を入れています。
平尾地区はアクセスとロケーションがよいので、かなりの激戦地区なのです。ここに開設するにあたり、徹底的な独自化を図らなければと考え、システム作りに着手しました。基本的には、きむら歯科で培ってきたシステムを継承しました。ハードは口腔内カメラ、各ユニットにパソコンを配置する完全デジタル化を行い、カウンセリングルームも設置しました。情報発信にも力を入れています。また医院の各セクションはネーミングされており、圧倒的に個性の強い歯科医院作りを目指しました。 以前に学んだことは、あらゆる人に気に入られようとする歯科医院を創れば、結局は平凡な歯科医院になってしまうということでした。そこで医院のターゲットとなる患者層の絞込みをしました。今では当院のコンセプトに共感される患者様が多く来院されています。

インプラントと矯正

インプラントや矯正にも取り組まれているようですが。

医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック インプラントや矯正にも取り組まれているようですが。
私がインプラントを始めた1995年当時はインプラント治療を行っている歯科医院は全体の約5%程度と言われていました。インプラントをしているだけで希少価値がありましたが、現在では、たくさんの歯科医院がインプラントを行っています。 しかし、インプラントは、治療計画を立てる上で有効なオプションであることには変わりありません。ドリーム歯科の患者さんは、若い方が多く、欠損の症例は少ないですが、必要な方には積極的に勧めています。 また、欠損歯列の方は、対合歯の挺出、隣在歯の移動などの問題を含んでいる方が多くおられます。そのような方には、矯正治療も組み合わせた治療を行うことが多くなっています。最近まで、自分自身で矯正治療も行っていましたが、今年からは矯正専門の先生が週に1回来てくれることになり、矯正は全てその先生にお任せしています。

カウンセリング

当院ではカウンセリングを重要視しています。初めて来院される患者様はいろいろな不安を抱えて、お見えになります。そこでカウンセリングルームのソフィアにご案内し、初診カウンセリングを必ず行います。これは患者様を知ることが最大の目的です。次に2回目の来院の際にセカンド・カウンセリングで医院のコンセプトを確実に伝えるというステップを徹底しています。これにより患者様とスタッフの信頼関係も高まります。

今後の展開

理想のクリニックへ向け現段階での課題とその克服策をお聞かせ下さい。

ドリーム歯科クリニックでは基本理念に基づき、さらに夢と感動が診療室に溢れる歯科医院を目指しています。そのために月毎にイベントを催しています。誕生日にはサプライズでお祝いすることもあります。「歯科医院で誕生日を祝ってもらえるなんて」と、想像外の出来事に感動のあまり泣き出される方が続出しています。お子様には診療終了後に表彰状を渡します。6月と12月は虫歯予防デーということで少し大きなイベントを準備して、ハンドベルの演奏やマジックショーなどを企画しています。10月はハロウィンなので、仮装して来院して頂いた方にキシリトールガムをプレゼントするなどのイベントを行っています。 スタッフの教育にも力を入れています。今のスタッフは自主的に週2回は昼休みに勉強会を開いています。

プライベート

学生時代の自動車部の流れで、50歳位までは自動車レースのラリーにドライバーとして出場したり、ラリー競技会を地元和歌山県内の山岳地で開催、主催責任者として競技長や事務局長として活動を積極的に行いました。海外のラリーにも友人とプライベート参加し、中でもイギリスで開催されていたWRC(世界選手権ラリー)シリーズ最終戦ラリーには7回出場しました。
自分の実力は本来そこまでで無くても、ぜひ世界の頂点を覗いて見たいとの好奇心と、何でもやり始めると、とことん頑張りすぎてしまう、困った性格です。その好奇心やテンションの高い気持ちが仕事に向いている時はもちろん結構ですが、趣味でも実力以上のことにトライしてみたくなる悪い癖です。この海外遠征のラリー競技ではずいぶんお金も使いましたが、クルマと関わる人との出会い、初めての海外で外国人とも競技を通じて戦いコンペティションすることなど、到底、日本国内では経験できない貴重な時間を過ごすことができました。今では競技に出る体力と気力、そして時間もありませんが、週末には家内と愛車で大阪や神戸へドライブがてら食事に行ったり、60歳から始めたゴルフを少しでも楽しみたいと思っています。

今後の展望をお聞かせ下さい。

とにかく予防歯科を充実させていきたいと思います。ケア専門ルームのオーロラルームに加え、今年7月にハイビスカスルームというメンテナンスルームを新設しました。健康な方が、より健康になるために通い続ける歯科医院でありたいと思います。健康で元気な患者様で診療所を一杯にすれば、それだけで全てが明るくなりますからね。 更にプロジェクトチームを作り、スタッフ主導で医院の運営に携わってもらう機会を作っています。

先生のご趣味は何ですか。

映画鑑賞と読書です。今年は半年で100冊の本を読破しました。主にビジネス書と自己啓発本が中心です。

これから開業しようとする先生へアドバイスをお願いします。

何事も失敗を恐れず、小さくてもいいので最初の一歩を確実に踏み出すこと、決断と実行スピードの速さが重要です。次に期限を決めた具体的な目標を持ち、それに向かって努力すること。この2点に尽きます。

タイムスケジュール

  • 医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック 木村慎一 院長 タイムスケジュール
  • 医療法人きむら歯科 ドリーム歯科クリニック平面図