歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人社団みさわ会 みさわ歯科・インプラントセンター春日部 三澤 篤 理事長

春日部駅東口の改札を抜けるとまず目に飛び込んでくるのが、真正面にある「みさわ歯科」の色鮮やかな看板だ。周囲を見渡せばそこかしこに歯科医院があり、激戦地の様相が見て取れる。それでも「歯科医院は多いほどいい」と自信を覗かせるのが、医療法人社団みさわ会 みさわ歯科・インプラントセンター春日部の理事長である三澤篤先生だ。インプラントにおいて国内で最も症例数を持つ、インプラントセンターにてセンター長を務めた実力者でもある。確固たる意志でもって開業してから間もなく1年。オープン当初から一日に3、40人の来院患者数であったという。快進撃は更に続く見込み十分と、明るいプランを笑顔でお話いただいた。

みさわ歯科・インプラントセンター春日部  三澤 篤 院長

医療法人社団みさわ会 みさわ歯科・インプラントセンター春日部 三澤 篤 理事長

プロフィール

  • 1974年 東京都生まれ
  • 1992年 南カリフォルニア大学 留学
  • 2002年 明海大学 歯学部 卒業
  • 2003年 インプラントセンター・八王子 勤務
  • 2006年 インプラントセンター・八王子 センター長 就任
  • 2009年 みさわ歯科・インプラントセンター春日部 開業
  • 【所属学会など】
  • 東埼玉人工歯根研究会 主幹
  • ブローネマルク公認 インストラクター
  • ITI認定医
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【開業に至るまで】

歯科医師を目指した動機は何だったのでしょうか。

歯科とは関係のない普通の家庭で育ったのですが、成功したいと言う気持ちが凄く強かったんですね。そこで起業をするとなるとアイディアも相当考えなければならないし、やはり資格を得ることが一番の近道ではないかと考えたんです。そこで、歯科医師を選びました。

18歳と言う若さで成功する手段として歯科医師を選ばれた訳ですね。

いえいえ、高校を卒業して4年間南カリフォルニア大学に留学していたんです。そこで自分の将来について真剣に考えて結論を出しました。高校生の年代では、そこまで自分の未来について決断することはできないでしょうね。留学したことは今になっても良い経験でしたし、今の自分の姿をイメージできたのもこの4年間での経験からだと思っています。

大学では成功を夢見て勉強一筋だったのでしょうか。

それが、どちらかというと遊びに一生懸命でした。サーフィンだとか(笑)。でも、それはそれで悶々とした大学生活でしたけれども。ただ、歯科医師として成功するという目的意識は強く持っていましたので、周囲が勉強の本を読んでいるなかで、経営者の本を多く読んでいましたね。遊ぶなら楽しく遊ぶ、勉強するならその瞬間は勉強に集中するというようにメリハリはつけていたので、成績は上位でしたよ。今思うと遊びの中からも重要なことを学んでいたんですね。この時期にコミュニケーション能力を身につけたと感じます。やはり、何をするにも一生懸命していれば無駄になることはないんだと思います。

勤務先を選んだ理由、学んだことを教えてください。

理由はズバリ、インプラントの症例数が非常に多かったことです。私はこれからの時代は絶対にインプラントだと思っていたのと、何かひとつに特化することが大事だと思っていたからです。小児も、義歯も、矯正も、インプラントも、あれもこれもは絶対に無理です。フォーカスを定めずして成功は絶対にあり得ないとの考えからなんです。
そこは歯科医師なら誰でも知っているインプラントで有名な歯科医院ですが、一般歯科の診療もあり、しっかりと教えていただけました。何しろ焦点をどこに絞るかですよね。最近の若い先生を見ていると、2、3年で転々とする人が多く感じられます。

でも、それでは見えてこないんです。この院長いいな、この院長にずっとついていく。その覚悟が大切ではないでしょうか。私はそうしてインプラントや治療のスキル、人間関係を含めさまざまなこと、経営学を身につけることができました。ですから今でも元勤務先の院長には非常に感謝しています。
もちろん指導してもらうことを待つだけでなく、自ら吸収しようとする姿勢が大事です。私は目的意識がハッキリしていた分、自然と吸収する姿勢になっていたのかもしれません。インプラントセンターのセンター長を任されるまでになりましたから、結果を出せたと思います。

何年後という様に開業時期も決めていたのですね?

はい。卒後3年以内で開業と考えていました。ところが実に居心地の良い勤務先だったので、6年位経ってしまいました。ただ誤解のないようにお願いします! 居心地の良いというのは、本当に自分が目指す未来に役立つものをいっぱい与えてくれたと言う意味です。院長はとても厳しかった。そのおかげで、歯科医師として一人前になったと言う自信を持てました。開業資金も貯められましたし、自分も院長のような医院を築こうと決心したんです。

インプラントに特化というと、都心での開業をイメージしますが。

私はもともと高円寺の生まれで、春日部に馴染みがあった訳ではなく、インプラント実績が多くない、ビッグユーザーがいない地域に絞りました。業者やディーラーに任せることは一切せず、自分の目と足でとにかく探し回り、この物件は駅の真正面ということもあり決めました。栃木・茨城・横浜・東京からも患者様が通ってくださるので、駅を降りてバスに乗ってというと、体力を消耗してしまいますしね。駅前は必須条件でしたね。
気付かれたと思いますが、この辺りは歯科医院の過密地帯なんですよ。そこもまた狙い目でもあったんです。というのも、そこに人口が集まってシナジー効果が生まれるからです。たとえばどこかでインプラントという文字を見た方が、当院に来てインプラントという文字を見たら「インプラントをやってみようかな」というサブリミナル効果も期待できるわけです。歯という文字を見ていて当院の前を通ったときに治療しなくてはと思い出したり、また逆のパターンもあるかもしれません。

内装に関しての留意点などはどうでしょうか

医療を提供する場所ですから、清潔感があり、働き易く、患者様にも快適でと言う考えに基づいています。デザイナーズを入れたり、ゴージャスにしてしまったりすると敷居を高くしてしまうので。そうすると「お金を取られてしまうのでは」という患者様の不安感を煽ってしまうと思います。
またインプラントだけという特別な歯科医院と言うイメージを取り払い、一般診療もある地域に密着した歯科医院でありたいという気持ちも伝えたくて、看板にはお子さんにも覚えてもらえるような可愛さも加味しました。

【経営理念】

色々な考えがあると思いますが、

私は1つの医院をいかに広げていくかを考えた方が、利益が上がるという理論です。院長の目が届く範囲で、医院を運営して行きたいと思っていますので、このビルも1階、2階を借りていますし、すぐ側の土地も借りていますので、将来的にはインプラントセンターを独立する計画も立てています。 しっかりした経営基盤の上に、患者様とのコミュニケーションの確立なくして、良い経営はできないと思っています。集約して言えば、ブレないことを大事にしています。

【診療方針】

診療方針についてお聞かせください。

『いつまでも噛める幸せをご提供いたします。』というのが診療におけるコンセプトです。インプラントを診療のメインとしてはいますが、基本は患者様の歯を残す治療を目指しています。静脈内鎮静法は麻酔科の先生、矯正治療は矯正科の先生というように、専門外のことは大学から先生に来ていただいています。

やはりインプラントの事をお聞きしたいです。

インプラントはあと10年という意見も耳にしますが、私はそうは思いません。むしろ高齢化社会を迎えるだけに、これからだと思っています。今、全国に無歯顎の人が400万人いると言われ、予備軍も多くいるはずです。インプラントはようやく認知されてきた段階だと思っています。
確かにインプラントは高額ですが、価格が下がってくる可能性はゼロとも言えません。ただし激安とうたってコストだけを考えてインプラントを打ったり、何でもかんでも打ってしまうという先生が増えるという心配はあります。まず信頼のおけるメーカーを選ぶのが一番だと思います。

世界的にもシェア№1、№2と言われるメーカーは信頼に値すると思いますので、私はブローネマルクなどを使っています。そして、きちんと診断し、適切な施術が出来る技術を確実に身につけなければなりません。私が習得した技術はキッチリ後進の先生に教えていきます。
ただ、インプラントと言うと技術やメーカーの話になりがちですが、一番大切な事は、患者様とのコミュニケーション能力なのです。どんなに素晴らしい技術を持っていても、最新の設備を揃えていても、患者様がインプラントを打ちたいと思ってくださらなければ何も始まりません。そして、十分なコミュニケーションが取れていれば、患者様も不安や具合をきちんと伝えてくださる訳ですから、対応も素早くでき、トラブルが発生することもなくなるのです。

歯科用CTの設備投資は大変だとうかがいますが。

そうですね。しかし、場所によってはミクロン単位で神経を避けてインプラントを埋入するわけですから、位置や角度の微妙な調整にはCTは不可欠です。術中に撮影したい場合もありますので、無くてはならない設備ですね。

説明する際にも患者様が興味をもってくださいますので、十分なコミュニケーションを取り易いという実感もあります。

【増患対策】

今日も混み合っていましたが、増患対策はどのようにされているのでしょうか。

今でも手一杯ですから、今のところ増患対策は必要ありませんね。開業当初から一日に3、40人の患者様がいらっしゃいましたし、レセプト数も群を抜く数字でした。もちろんチラシや広告を打ちましたが、立地に助けられたということは否めませんね。今では紹介で来る方も多くいらっしゃいます。

ただ、現在は6、70人という来院数で、30分待ちが当たり前の現状です。「待たせない歯科医院」というコンセプトを掲げていたので、改善しなければと考えています。それでもインプラントを年間500本埋入していますので、ぜひ良いドクターに来てもらって、一緒に頑張って行きたいと願っています。

【スタッフ教育】

特別な教育法などございますか?

もちろん覚えておくことはありますが、分厚いマニュアルを用意するようなことはしていません。一番は、患者様とのコミュニケーションをしっかり取ること。歯科医院というのは患者様にとって非常に怖い場所です。ですから優しく声を掛ける、挨拶をしっかりする、この点を重点的に指導しています。技術云々よりも、まずはコミュニケーション。ドクターにも同じことが言えます。最低限の技術は必要ですが、技術は学ぶことでいくらでも身につきますから。何よりコミュニケーションが取れないドクターは、私にとっては駄目なドクターなんですね。

インプラントにおけるものはすべて教えられます。基本的なことを始め、傾斜埋入におけるグラフトレス、サイナスリフトなど。それよりも、やはりコミュニケーション能力です。先ほどもお話しましたが、本当に大切なことなんですよ。
そして、患者様は家族と同じように接するということですね。

これまでの経験の中で自分が学んできたものを次の代に伝えることが、自分に与えられた役目だと思っています。育てられたことへの恩返しでもあるわけです。そして私の下で学んだドクターたちが次の代を育てていく。こんな繰り返しがされていくのが理想です。私が元の勤務先の院長についていこうと思えたように、私もそのような院長を目指して日々研鑽しています。

【今後の展開】

経営理念でもあるように、この医院を深く大きくしていくことですね。
今は1階のみで診療していますが、11月には2階をオペ室として拡大する予定です。将来的には、インプラントセンターを作る予定です。地域でいかに広げていくかが、患者様のためにもなりますから。また、安心という意味でも必ず担当医制を敷いて、その先生に患者様を診てもらうつもりです。

【開業に向けてのアドバイス】

1、2年で勤務先を移るケースも多いのですが、自分が信じた道であれば、そこに長くいること。そうして開業するのが、一番の近道だと思います。そしてブレないこと。勤務医のときは審美や矯正、インプラントとさまざまな分野へバラつきがちですが、自分の道はひとつと特化することが大事です。それと、自分もそうでしたが上り調子の医院に勤めることも重要です。大きくなっていこうというエネルギー溢れる医院には、自分が成長するためのヒントがいくつもあります。いずれ自分が開業するときに役立つはずです。

【プライベート】

今はプライベートはありませんね。8時半に診療が始まり、診療終了は20時半。診療後には業者との打ち合わせがありますし、日曜日もオペをする日もあります。開業当初からこの生活が続いていますが、それでも充実感に満たされていますよ(笑)

【タイムスケジュール】