歯科経営者に聴く - 医療法人社団 華城会 はなふさ歯科医院 華房 英樹 院長(後編)

歯科経営者に聴く(後編)

~第一線で活躍する院長・理事長から学ぶ~

医療法人社団 華城会 はなふさ歯科医院

 地域に根ざし、子どもから高齢者まで幅広い世代の“食べる喜び”を支える医療法人社団 華城会 はなふさ歯科医院。歯科医療にとどまらず、医療・介護、さらには食の分野まで多角的に展開し、「一生涯楽しく食べる」をテーマに、地域社会の健康づくりに貢献してきた。
今回は、先月に引き続き、華房英樹先生にスタッフ採用・教育への想いから、今後の事業展開、歯科業界の未来まで、幅広くお話を伺った。

華房 英樹 院長

医療法人社団 華城会 華房 英樹 院長

【プロフィール】

  • 1960年岡山県 生まれ
  • 1985年徳島大学歯学部 卒業
  • 1985年川崎医科大学口腔外科 入局
  • 1989年社会福祉旭川荘旭川療育園 歯科口腔外科 医長
  • 1991年はなふさ歯科医院 開院

【スタッフ採用・教育】

最初にスタッフを採用する時、どのような基準を重視しましたか。

スタッフを採用する際、最も重視しているのは「素直さ」です。
当院の理念に共感し、自ら考えて行動できること、そして人に対する優しさを持っていることを大切な基準としています。技術や経験ももちろん重要ですが、まずは人としての姿勢や価値観を重視した採用を行っています。

スタッフの育成・教育はどのように行っていますか。

新卒スタッフに対しては、4月から1年間をかけて新入社員研修を行っています。
4月にはまず1週間の社会人研修を実施し、その後も3か月ごとに専門教育と社会人教育の両方を定期的にチェックしながら成長をサポートします。

中途採用スタッフについては、これまでの経験や実力に合わせた教育を行っています。まずは当法人の理念を中心とした考え方が理解できているか、社会人としての基本的なマナーが備わっているかを評価し、そのうえで必要な教育やサポートを提供していく形をとっています。

スタッフとのコミュニケーションで、最も大切にしているのはなんでしょうか。

スタッフ、とくに新入社員とのコミュニケーションでは「安心して働ける環境づくり」を何より大切にしています。
当院では新入社員と教育担当スタッフが、入職後1か月間「交換日記」を行っています。環境に慣れるまで不安や寂しさを感じやすい時期だからこそ、文字で気持ちを伝え合い、悩みを早期にキャッチできるようにしています。これに加えて定期面談も行い、孤立感を抱かせないよう丁寧にサポートしています。

また、当院は「対話中心の朝礼」を特徴としています。毎日コミュニケーションワークを行うような雰囲気で、承認や教育の場としても大きく機能しています。こうした日々の積み重ねによって、自然とスタッフ同士の距離が近くなり、風通しのよいコミュニケーション環境を築いています。

スタッフが働きやすい環境づくりの為に注意されていることはありますか。

働きやすい職場環境をつくるうえで、最も大切にしているのは「評価基準を明確にし、オープンにすること」です。
労働時間の柔軟性や教育制度の充実にも力を入れており、有給休暇の消化率の高さは大きな自信につながっています。大規模歯科医院ならではのスタッフ数の多さが、休みの取りやすさにつながり、結果として離職率の低下にも寄与しています。

さらに、毎年全スタッフに目標設定シートを書いてもらい、経営計画発表会では組織の未来像を明確に示しています。数字も含めて情報を公開し、隠し事のない透明性の高い組織風土を築いています。「何のために、どこを目指すのか」を共有することで、スタッフは自分がどう働けば成長できるのかを具体的に考えられるようになり、評価制度の納得感にもつながっています。

また、グループ全体で年2回(経営計画発表会・忘年会)スタッフが集まる機会を設けているほか、毎月その月の誕生日スタッフを対象に会食を開催したり、レクリエーション大会を企画したりしています。医院や施設の垣根を越えて交流することで、一体感のある組織づくりを進めています。

【今後の展開】

今後の経営の展開について伺わせてください。(取り入れたい事など)

当法人では、歯科医療・医療・介護に加え、「食」を扱う事業(お菓子屋・うどん屋)も運営しています。
私たちのグループ全体のテーマは「一生涯、楽しく食べることを支え、地域をより良くしていく」ことです。今後は各事業をさらに拡大し、医療・介護・食といった領域が相互に作用しながら、地域の中で“楽しく食べ続けられる環境”を創出していけるような展開を進めていきたいと考えています。

今後、歯科業界はどのように変化していくと想像されますか。

近年、予防の考え方が広く浸透し、歯を失うケースは今後ますます減っていくと感じています。また、iPS細胞などの再生医療の進歩によって、歯の再生治療が実用化する可能性も十分にあります。
そのような未来においては、「歯がある・ない」という単純な問題ではなく、口腔機能を総合的に診る力が求められていくでしょう。

さらに、歯科単独ではなく、医療や介護といった大きな枠組みの中で歯科がどれだけ連携し、パフォーマンスを発揮できるかが重要になっていきます。
歯科医療だけが進歩すれば良いのではなく、地域全体の健康を支える“包括的な医療”の一翼として貢献していく姿勢が求められると考えています。

転職・開業を考えておられる先生方へアドバイスをお願いします。

転職や開業を考える際には、単に「お金」だけで判断するのではなく、自分の人生の中で“やりがい”や“楽しさ”を感じられるかどうかを大切にしてほしいと思います。
仕事と人生のバランスをどう取るか、そして使命感を持って取り組める仕事に出会えるかが、長いキャリアにおいて非常に重要です。ぜひ、自分が心から燃えられる志や楽しさを見つけていただきたいと願っています。

休日やオフの時間に行っている、リフレッシュ方法や趣味を教えてください。

オフの日は、自然の中で景色を眺めたり、空気を感じたり、ただぼーっと過ごす時間が好きです(笑)。
歯科以外にも複数の仕事を抱えているため、正直ゆっくり休む時間は多くありません。しかし、私自身は仕事とプライベートの境目があまりなく、人に会うことやどこかへ出向くことも楽しみのひとつです。仕事そのものが“趣味”のような感覚でもあり、日々を前向きに楽しんでいます。

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