歯科経営者に聴く(前編)
~第一線で活躍する院長・理事長から学ぶ~
新潟県長岡市で地域医療を支え続けるみずほ歯科口腔外科。「私たちは家族と安心して通える歯科医院をつくります」という理念のもと、一般歯科から口腔外科まで幅広い診療に対応し、子どもから高齢者まで世代を超えて通える環境づくりに力を注いできた。患者様一人ひとりとの関わりを大切にしながら、地域に根ざした歯科医療を実践し、信頼される医院を目指している。
今回は、今月と来月の2回にわたり、みずほ歯科口腔外科の開業に至るまでの歩みや診療に込めた想い、口腔外科を強みとする医院ならではの取り組み、スタッフが働きやすい環境づくり、そしてこれからの地域歯科医療への展望について、理事長の山田先生にお話を伺った。
医療法人みずほ みずほ歯科口腔外科 山田 裕士 理事長
【プロフィール】
- 1974年新潟県新潟市 生まれ
- 1999年日本歯科大学新潟歯学部 卒業
- 1999年新潟大学歯学部第二口腔外科(現:顎顔面外科) 入局
- 2020年「みずほ歯科口腔外科」開院
【開業に至るまで】
歯科医師を目指されたきっかけについて教えてください。
祖父が歯科医師だったことが大きなきっかけです。父も歯科医師だったため、幼い頃から歯科医療は身近な存在でした。本格的に歯科医師を目指そうと決めたのは高校生の頃で、「父の医院を継ぐのもいいかな」と自然に考えるようになりました。
理事長が卒業後の勤務先を選ばれたポイントを教えてください。また、そこでどんなことを学ばれましたか。
日本歯科大学新潟生命歯学部と新潟大学歯学部のすぐ近くに父の医院がありました。両大学の先生方とのつながりを持つことで、将来的に患者様の紹介などさまざまな面でメリットがあると考え、新潟大学を選びました。
また、口腔外科を選択した理由は、開業医ではなかなか経験できない全身管理や外科的な技術を若いうちに学びたいと考えたからです。
開業しようと決断した時期、いきさつはどんなことでしょうか。
もともと父の歯科医院を継承していましたが、その医院は姉が継ぐことになったため、それならば自分で一から医院をつくろうと考え、開業を決意しました。
開業前に一番不安だったことは何ですか?どう乗り越えましたか。
やはり一番の不安は人材確保でした。
前の職場でも人材面には苦労していました。ただ、以前一緒に働いていたスタッフがオープニングスタッフとして参加してくれたことは非常に大きかったです。
開業場所を決めるにあたり、どのようなポイントを重視しましたか。
祖父がこの地域で開業していたことや、私自身もこのエリアで仕事をしていたため土地勘があったことが理由の一つです。また、一緒に働きたいと言ってくれるスタッフがいたことも後押しになりました。
開業にあたっては賃貸物件ではなく、市が分譲していた土地を購入して医院を建てました。賃貸の場合、将来的に契約の問題が生じる可能性もあるため、長く地域に根差して診療を続けられる環境を選びました。
開業後、理想と現実のギャップを感じた瞬間はありましたか。
想像以上に事務作業が多かったことです。
【理念・治療スタイル】
経営理念や診療方針を教えて下さい。
当院の理念は、「私たちは家族と安心して通える歯科医院をつくります」です。自分の大事な家族を安心して紹介できる医院でなければならないと考えています。この地域はご家族で暮らしている方も多いため、お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、ご家族みんなで通っていただける医院であり続けることを大切にしています。
治療スタイルに影響を与えた特定の経験や出会いがあれば教えてください。
研修医の頃に担当した、仕事をバリバリこなされている女性の患者さんとの出会いが印象に残っています。最初は経験が浅い私を頼りなく感じていたようですが、術後も毎日接する中で徐々に心を開いてくださり、その後の外来通院でも「山田先生に診てもらいたい」と来院してくださるようになりました。この経験から、患者さんと前向きに関わり続けることの大切さを学びました。
また、歯科治療への恐怖心が強く、虫歯の影響でほとんど笑顔を見せなかった患者さんが、全顎的な治療によって口元が綺麗になった後、笑顔で来院してくださるようになったことも非常に嬉しかったですね。
今後の歯科医療の発展において、理念に基づき医院として特に力を入れたい分野はありますか。
「患者さんに対して前向きに接していくこと」を大切にしていきたいと考えています。治療の内容も大事ですが、結局は人と人との関わりですので、しっかりとした信頼関係を築きながら治療を進めていくことが何より重要だと思っています。
他の医院との差別化するために工夫している点をお聞かせください。
新しい機材の導入も意識していますが、やはり大きな強みは「口腔外科」だと思います。他院では対応が難しかったり、原因がはっきりしなかった症状の患者さんが来院されることもあり、専門性を活かした診療が当院の特徴の一つになっています。
開業・運営するうえでの苦労話、ピンチなどはありますか。
開業当初から一緒に働いてくれていた歯科技工士が退職することになった時は大きな出来事でした。院内に技工士がいることで、その場ですぐに相談ができたり、同じ理念や目標を共有しながら仕事を進められたりと、多くのメリットがありました。
別れはありましたが、その後も良い出会いに恵まれたことで乗り越えることができました。
どのような増患対策を取られていますか。
特別な増患対策を行っているわけではありませんが、既存の患者さんの満足度を高めることを大切にしています。悪い口コミが広がらないよう患者さんへの対応には十分気を配っていますし、トラブルがあった際には早めに対応できるよう、スタッフ間でミーティングを行いながら情報共有をしています。
続きは、8/1公開の後編で!