歯科経営者に聴く(前編)
~第一線で活躍する院長・理事長から学ぶ~
神奈川県横浜市港南区上永谷・丸山台は、横浜市営地下鉄ブルーラインが通り、都心方面へのアクセスにも恵まれた住宅地である。駅周辺には商業施設や生活に必要な店舗が揃う一方、落ち着いた街並みが広がり、地域に暮らす人々の生活を支えている。
上永谷丸山台デンタルオフィスは、2026年9月に開院を予定している歯科医院である。「保険で最良の医療を提供する」「確実でごまかさない治療をする」を理念に掲げ、院内での診療に加えて訪問診療にも力を入れ、患者が通院できなくなった後も継続して地域の医療を支えていく医院を目指している。また、職種や年齢による上下関係をつくらず、それぞれの専門性を生かしながら意見を出し合えるチームづくりにも取り組んでいく。
今月と来月の2回にわたり、大学病院で約20年間勤務し、アメリカ・ボストンへの留学も経験した上永谷丸山台デンタルオフィスの田草川徹院長に、開業への想いや目指す医院の姿、オープニングスタッフへの期待についてお話を伺った。
上永谷丸山台デンタルオフィス 田草川 徹 院長
【プロフィール】
- 山梨県出身
- 明海大学歯学部卒業
- 大学病院にて約20年間勤務
- 2018年~2020年アメリカ・ボストンへ留学
- ハーバード歯科医学校
- マサチューセッツ総合病院 顎顔面外科学分野に在籍
- 六本木の自費専門クリニック~文京区の一般歯科勤務
- 2026年9月 上永谷丸山台デンタルオフィス開院予定
【開業への想い】
歯科医師を目指したきっかけを教えてください。
父が開業医だったので、自然と、特に何か意識することなく、歯学部、そして歯科医師の道へ進むという意識でいました。特段、何か大きいきっかけというよりは、幼稚園ぐらいの時から「将来は歯医者になる」と書いていたみたいです。兄弟は3人いるのですが、3人とも歯科医師になっています。
勤務医時代はどのような経験を積まれましたか。また、特に学びになったことを教えてください。
留学したときに、改めて日本の保険システムの良さ、そして海外にはない国民皆保険という恵まれた環境を強く感じました。
一方で、標準化されてしまうという、悪いとは言わないまでも、そこに我々があぐらをかいてしまっている部分もあると思うんですよね。海外の場合は保険がない分、競争していかなければならないという、保険診療と自由診療との違いを強く感じました。
そこで、日本は本当に恵まれた国なのだなと感じましたし、保険診療をやっていく役割や意義というものを強く意識したことが、一番刺激になったところです。
このタイミングで開業を決意された理由を教えてください。
理由は、年齢的なものもあります。今49歳なのですが、そろそろ自分の人生のリミットを考えたときに、今のパフォーマンスをそのまま継続して、あと10年、20年と出せるかなと思ったら、ちょっと無理だなと思ったんですよね。年齢によって、自分が進むべきポジションやステージが分かれてくると思っていました。自分が一線で活躍するというよりは、医院という「箱」を持って、若い人の力を借りながら、地域の医療をしっかり提供していく。それをやるときに、やはり「開業」というスタンスが一番確かなのだろうと思ったのがきっかけです。
どのような歯科医院をつくりたいと考えていますか。
先ほど刺激を受けたことにもつながるのですが、やはり保険診療でカバーできる、できる限り最善のものを提供するということです。
もちろん、保険でカバーできないインプラントなどは自由診療としてやっていくべきだと思いますが、保険でできる最大限のものをしっかり提供する。
その中で、訪問診療も含めてやっていく予定ですので、地域の医療を担うクリニックという立ち位置の歯科医院をつくれたらいいなと思っています。
開院場所を選ばれた理由や、この地域で開業しようと思ったきっかけを教えてください。
一番は、ディーラーさんからの紹介というところが大きいのですが、患者さんがしっかりいて、視認性が高く、認知されやすいという点があります。
あとは、直近5年間勤めていたクリニックの分院がこの近くにあり、何度かここに来たことがあったんです。落ち着いたエリアだなというイメージがありました。
私は、駅前のキラキラしたクリニックをつくるつもりはありません。地域に根差し、自分がずっと診てきた患者さんが来られなくなったら、我々が訪問で迎えに行くというスタンスの歯科医院をつくりたかったんです。
自分の目指す歯科医院をつくる上で、この土地は非常に魅力的でした。
【診療理念・医院づくり】
医院の理念や診療方針について教えてください。
ざっくりとした形にはなりますが、医院の理念としては、やはり保険で最良の医療を提供すること、そして確実でごまかさない治療をすることです。
また、私のロゴに「VERITAS(ヴェリタス)」という単語を入れているのですが、これはハーバード大学の校訓です。ラテン語で『真理』や『真実』を意味します。正しく真実を見極め、真理を追求する姿勢を重んじる言葉です。医院の理念として掲げています。
他院との差別化として、力を入れたい診療や設備、サービスはありますか。
「ポセイドン」と呼ばれる、配管を洗浄する設備を入れたり、自動洗浄機を入れたりして、滅菌の部分にはこだわっています。
患者さんというよりはスタッフに向けても、洗い物などでケガをしてしまうことがありますので、スタッフの安全という意味でも、こうした設備は大切だと考えています。
やはり口の中に入れる水ですので、水に対してもしっかりとした処理がされているということは、安心して受診していただくためにも重要だと思っています。
5年後、10年後にはどのような医院になっていたいと考えていますか。
中長期的な展望としては、やはり来院できる方は院内で診て、来られなくなった方をどうフォローできるかという意味で、訪問診療をいかに厚くしていけるかを考えています。訪問に力を入れていきたいですね。
続きは、10/1公開の後編で!