歯科経営者に聴く(後編)
~第一線で活躍する院長・理事長から学ぶ~
神奈川県横浜市港南区上永谷・丸山台は、横浜市営地下鉄ブルーラインが通り、都心方面へのアクセスにも恵まれた住宅地である。駅周辺には商業施設や生活に必要な店舗が揃う一方、落ち着いた街並みが広がり、地域に暮らす人々の生活を支えている。
上永谷丸山台デンタルオフィスは、2026年9月に開院を予定している歯科医院である。「保険で最良の医療を提供する」「確実でごまかさない治療をする」を理念に掲げ、院内での診療に加えて訪問診療にも力を入れ、患者が通院できなくなった後も継続して地域の医療を支えていく医院を目指している。また、職種や年齢による上下関係をつくらず、それぞれの専門性を生かしながら意見を出し合えるチームづくりにも取り組んでいく。
今回は、先月に引き続き、大学病院で約20年間勤務し、アメリカ・ボストンへの留学も経験した上永谷丸山台デンタルオフィスの田草川徹院長に、開業への想いや目指す医院の姿、オープニングスタッフへの期待についてお話を伺った。
上永谷丸山台デンタルオフィス 田草川 徹 院長
【プロフィール】
- 1974年新潟県新潟市 生まれ
- 1999年日本歯科大学新潟歯学部 卒業
- 1999年新潟大学歯学部第二口腔外科(現:顎顔面外科) 入局
- 2020年「上永谷丸山台デンタルオフィス」開院
【オープニングスタッフについて】
今回オープニングスタッフを募集するにあたり、どのような方と一緒に働きたいですか。
歯科医院には、歯科医師がいて、歯科衛生士がいて、助手がいてという、ピラミッド型のヒエラルキー構造がつくられやすいと思うのですが、私はそれはいらないと思っています。共通の目的は「患者さん」ですので、職種間での上下関係を強いるような人とは一緒に働きたくないですね。共通して、今来ていただいている患者さんに満足していただけるかどうかというところが、我々がやらなければならないことだと思っています。
治療をするのは我々、クリーニングやメンテナンスをするのは衛生士さん、アポイントを滞りなく取って、我々には言えない患者さんの本音を聴き出せるのが助手さん。それぞれの持ち場で、最良のパフォーマンスを出せる方に、ぜひ来ていただきたいです。
日本は年功序列が強いですが、そういうものもピラミッド型の構造をつくっていると思います。
アメリカの場合は、私より年下の人でも、普通にファーストネームで呼んできて、「これやって」「あれやって」と何の抵抗もなく言ってきます。
目的を達成するために、「あなたができることはこれ、私にできないのはこれだから、これをやってね」ということが明確に表現できる。そこが日本にはないところだと思います。私は「何でも言ってください」と言いますが、まさにそういうことを思っています。
歯科医師や衛生士がすべて正しいわけではありません。間違いがあれば正確に伝えていただきたいですし、それに対して、個人的な感情ではなく、最善のパフォーマンスを出すために必要な意見であれば、すべて聞き入れて、一緒に解決する場を設けていくつもりです。
開院前のスタッフ研修や教育体制について教えてください。
研修を担当してくださる外部講師の業者さんに入っていただき、2日間かけて研修を行います。もちろん、2日間では足りない部分もありますので、そこは私が教えたり、衛生士さんは衛生士さんとして、助手さんは助手さんとして、それぞれの持ち場で慣れている人が、慣れていない人に教えていく、一緒にやっていくスタイルを考えています。全部を私が一人でやるつもりはありません。
働きやすい職場づくりのために大切にしたいことは何でしょうか。
まず、ヒエラルキーのような上下構造を撤廃することです。
そして、女性が多い職場ですので、年齢によってそれぞれのライフステージが変わっていくことを理解した上でシフトを組み、プライベートの時間を優先できる環境をつくっていきたいです。
スタッフとのコミュニケーションで心掛けたいことを教えてください。
組織として距離感が生まれやすいので、院内にいるときは極力、顔を合わせながらコミュニケーションを取ることを心掛けたいです。
オープニングスタッフだからこそ経験できる魅力は何でしょうか。
ゼロから皆さんの意見や考えを入れながら、一緒にクリニックをつくっていけるところですね。
「こうしたらより良くなる」という意見を聞きながら進めていきたいという思いが強いので、一緒につくっていけることが、オープニングの強みであり魅力だと思います。
【今後の展望】
開院後、まず目指したい医院像を教えてください。
患者さんに対しては、保険の中で最良の医療を提供し、年齢が上がって通えなくなれば訪問で伺っていく。スタッフに対しては、ライフステージの変化をフォローしながら、長く勤めてもらう。スタッフも患者さんも、長くクリニックに関わっていただけるような状態が、一番目指したいところです。
将来的に取り組みたい診療や新しいチャレンジはありますか。
分院展開は、今は考えていません。本院と訪問を両輪として、しっかり動かしていきたいです。
また、具体的な診療の取り組みとしては、「睡眠と歯科の関わり」に興味があります。
日本睡眠学会などにも入っていますが、歯ぎしり(ブラキシズム)と睡眠というのはよく言われているので、そこで今はアメリカのベンチャー企業とタイアップして、アドバイザーとしてデバイス開発に携わっています。今は、無呼吸が潜在的に多い方が多いので、その睡眠時無呼吸に歯科としてどう関わっていけるかということが、個人的には取り組んでいきたいテーマです。
地域の皆様からどのような歯科医院として選ばれたいですか。
ずっとこのクリニックで関わって、お口の健康を守っていっていただきたいですね。
通えなくなったら終わり、その後の訪問は「他の先生によろしく」としてしまうと、患者さんはまた一から関係性を構築しなければならず、「こうしてほしかったのに」という思いをさせてしまうかもしれません。そういった思いをさせたくないので、院内に限らず訪問でも、安心して保険医療を受けていただける。そのような選択をしていただけると嬉しいです。
これから応募を検討している歯科医師・歯科衛生士・歯科助手の皆さんへメッセージをお願いします。
新規開業ですので、1からつくっていくクリニックになります。
力を貸していただき、より良いクリニックを一緒につくっていけたらと思っています。
開院準備で一番楽しく感じたところ、苦労したところは何ですか。
準備の段階で楽しかったことは、なかなかないですが、自分が考えたものがだんだんと具現化され、出来上がっていくのを見るのは本当に嬉しいですし、高揚感があります。
苦労することは数えきれないくらいあります。でも、自分の考えている理念を実現できる場が出来上がることが、一番の喜びですね。
お休みの日の過ごし方や趣味、リフレッシュ方法を教えてください。
基本的には、休日に関わらず読書をするようにしています。
あとは、週に2回フットサルをやっています。学生時代からずっとサッカーをやってきたので、体を動かして、完全に仕事の思考を切り離す時間をつくるために、今も週2回やっていますね。