歯科コラム 一覧

特集 船越 栄次先生

アメリカでの留学先をどのようにして決められたのですか。

アメリカでの留学先をどのようにして決められたのですか。

アメリカで進んだ歯周病を学ぼうと決心して、アメリカで歯周病の研究を行っている大学病院に、日本人を留学させてもらえるかどうか、手紙を書くという行動を起こしました。そうしましたら2つの大学から返事が来て、Tufts大学に行くことを決めました。Tufts大学で2年間、その後の5年間はIndiana大学に教職員として行きました。それから日本に戻ってきて、東京で2年勤めてから、福岡に戻ってきて開業しました。勉強をする大事さをアメリカで学びましたね。今は情報が多いですが、当時は情報も何もなかったので、実際に行動して学んでいかなければいけない時代でした。




Indiana大学に行かれたのはどうしてですか。

Indiana大学に行かれたのはどうしてですか。

Tufts大学大学院を卒業してIndiana大学に進んだのですが、アメリカで勉強していくうちに夢が増えていきました。2年間の留学終了後に日本に戻る方も多くいらっしゃいますが、私は習ったことを教えていきたかったので、日本に戻らずにアメリカの大学で教職に就くことを目指しました。そこで、日本人でも職員として働かせてもらえる大学を探したところ、4つの大学からお話をいただきました。Tufts大学の教授はシカゴにあるLoyola大学を薦めてくださったのですが、当初は英会話でお世話になった先生がダラスにいたので、テキサス州にあるBaylor大学に行くつもりでした。知り合いが近くにいると、安心感もありますからね。Baylor大学の面接後に英会話の先生だった方のお宅に泊まらせていただき、ダラスを勧められました。

しかし、悩んだ末に最後に面接があったIndiana大学を選びました。どちらの大学の教授も有名な方でしたが、Indiana大学を選んだ理由は面接のときの対応が非常に良かったことと、受け入れ体制が良く、魅力的に感じたことです。アメリカの大学の場合、面接前に書類審査があり、面接が決まると費用は全て大学が負担します。ほかの大学の面接は指定された場所と時間に訪問する形でしたが、Indiana大学は教授自らわざわざ空港まで迎えに来てくれたり、面接後は自宅に招待してくれたりと、教授との信頼関係が築け、この教授に付いていこうと思いました。まだ受かってもいない私にそこまでのことをしてくださることに感銘を受けました。この教授との運命の出会いで現在の私があると信じています。人生にはこうした岐路が必ずあります。やはり打算で動いてはいけませんね。Indiana大学は決して給料は高くなかったです。ほかの大学の方が給料は良かったですが、条件だけでなく、教授の人情や環境、人脈も踏まえて選択をしたので、良い結果に繋がったのではないでしょうか。Indiana大学の教授はアメリカ歯周病学会でもトップに昇っていかれるような方でしたので、多くのサポートをいただきました。

船越先生は歯科治療の先進国であるアメリカの歯学修士の資格をお持ちですが、アメリカと日本の違いはどんなところにあるのでしょうか。

船越先生は歯科治療の先進国であるアメリカの歯学修士の資格をお持ちですが、アメリカと日本の違いはどんなところにあるのでしょうか。

保険制度の違いが大きいです。アメリカは契約医療であり、自費診療しかないので、患者様が100万円でも払えば、それなりの治療結果を求められます。しかし、国民皆保険のもとの日本の保険診療ではクオリティのある技術を提供することではなくて、治療を行ったかどうかです。日本の保険診療では誰が治療をやっても金額が同じです。新人でも経験豊かな歯科医師でも一緒というのはどうなのか、今後の検討課題ですね。

どちらが良いとは言い切れませんが、アメリカは1人の歯科医師が多数の患者を診るのではなく、5、6名程度の少人数の患者様に対してクオリティの高い治療を提供することが重要だと考えられています。QOLをいかに高めていくが最優先なのでしょうね。また、アメリカの場合は規制がないので、大企業化が進んでいる面もあります。

材料の価格が違うのも日米の違いですね。アメリカでは材料はメールオーダーです。中間マージンがないので、材料費は安いです。